日本癌治療学会
3日前
医師のキャリアが多様化するなか、 オンコロジストとしての道をなぜ選んだのか――。 九州大学大学院消化器・総合外科 (第2外科) の江端由穂先生に話を聞きました。
――医師を志したきっかけを教えてください。
「妹が病気がちだったことが最初のきっかけです。 長崎・五島列島の出身で、 地元には診療所が一つあるだけ。 中学、 高校と成長するにつれ、 地域では専門性の高い医療が届きにくいという現実に気づきました。 そんな環境でも、 子どもたちや地域の人たちの力になれる医療に関わりたいと考えました」
「進学した長崎大では、 部活動で剣道に打ち込みました。 臨床実習が始まった5~6年生の頃に初めて手術を見たとき、 『なんてかっこいいんだろう』と思って。 小児医療を含めた『手術で治す』道に惹かれて外科系を目指すようになりました」
――初期研修先はどうやって決めたのですか?
「九州各地の病院を見学しましたが、 最終的には『地域貢献したい』という思いから、 地元の上五島病院を選びました。 1学年に研修医は私ひとり。 看護師さんと一緒に毎朝採血をしたり、 救急対応のファーストタッチを任されたり、 濃密な日々でした」
「一方、 救急車の対応中に自分の無力さに直面し、 診療が落ち着いたあと、 すみっこの暗がりで一人で泣いたことがあります。 今では笑い話ですが、 あの時の悔しさは今でも覚えています」
――その後、 九州大学大学院消化器・総合外科 (第2外科) に入局を決めた経緯を教えて下さい。
「九州での人脈づくりや技術向上を考えて入局を決めました。 実はこの教室、 すごく部活っぽいんです。 同じ釜の飯を食うような文化があって、 手術が終わったら皆で『お疲れさま!』って言い合う。 どこか剣道部の雰囲気にも似ていて、 みんなで頑張る感じが肌に合っていますね」
「第2外科では肝臓、 血管、 呼吸器などさまざまな分野に触れる機会があり、 移植された肝臓が体の中でピンクに戻る瞬間はとても感動的でした。 動く臓器が大好きで、 マニアックかもしれませんが、 ゆるやかで規則的な腸の動きに心惹かれます」
「特に好きなのが腸です。 大腸がんは男女問わず罹患率が高いですし、 消化器外科を専門に頑張りたいと考えました」
――現在は大学院にも在籍されていますね。
「将来的に博士号が必要になるかもしれないと先輩に勧められ、 進学を決めました。 研究の計画を立てて実験が成功したときの達成感、 英語論文への抵抗感がなくなったことなど意外と楽しいです (笑)。 ベッドフリーで時間に融通が利く分、 手術動画を見たり、 論文を読んだり、 自分のペースで成長できている実感があります」
――子育てとの両立についてもお聞かせください。
「今、 子どもは生後1歳未満で、 育児真っ最中です。 日々バタバタしていますが、 家族や同期、 先輩、 後輩の支えがあって、 やりくりができています。 研究も育児もどちらも諦めたくはないですね」
――自身の見識を深めるために大切にしていることは何ですか。
「学会活動などで知識の幅や人脈を広げることです。 今は日本外科学会、 日本消化器外科学会、 日本癌治療学会 (JSCO) などに所属しています。 JSCOは外科以外にも泌尿器科や婦人科などさまざまな分野の腫瘍医が集まっていて、 最新情報に触れることができます。 自分の世界を広げてくれる貴重な場となっています」
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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