Conroyらは, 3~12週間以内に肉眼的完全切除術後 (R0/R1) の膵癌患者を対象に, modified FOLFIRINOX (mFFX) とゲムシタビンによる術後補助療法の5年間の転帰を非盲検第Ⅲ相無作為化臨床試験で検討. その結果, mFFXはゲムシタビンより有意に長い生存期間をもたらすことが明らかとなった. 本研究は, JAMA Oncol誌において発表された.
📘原著論文
Five-Year Outcomes of FOLFIRINOX vs Gemcitabine as Adjuvant Therapy for Pancreatic Cancer: A Randomized Clinical Trial. JAMA Oncol. 2022 Sep 1;e223829.PMID: 36048453
👨⚕️HOKUTO監修医コメント
5年間の長期予後でも大きな差を生み出す結果となったため, QOLの評価項目があればとさらに素晴らしいと思いました.
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背景
PRODIGE 24/Canadian Cancer Trials Group PA6無作為化臨床試験の3年後の早期結果では, 切除された膵癌患者において, mFFXとゲムシタビンによる術後補助療法の生存利益が示された.
研究デザイン
- 対象:3~12週間以内に肉眼的完全切除術 (R0/R1) を受けた, 組織学的に膵管腺癌が確認された18~79歳の患者493名.
- 以下の2群に1:1の割合で無作為に割り付け.
- mFFX群:オキサリプラチン:体表面積85mg/m², イリノテカン:150~180mg/m², ロイコボリン:400mg/m²⁾, フルオロウラシル, 2週間ごと
- ゲムシタビン群:1,000mg/m²を1, 8, 15日, 4週間ごと
治療は24週間継続
- 主要評価項目:無病生存期間 (DFS) .
- 副次評価項目:全生存期間 (OS) , 無転移生存期間, 癌特異的生存期間.
研究結果
- 中央値:69.7ヵ月の追跡期間で, 367例の無病生存が確認された.
- DFS
- mFFX:21.4カ月 (95%CI 17.5-26.7)
- ゲムシタビン:12.8カ月 (95%CI 11.6-15.2)
HR 0.66, 95%CI 0.54-0.82, P<0.001
- 5年DFS
- mFFX:26.1%
- ゲムシタビン:19.0%
- OS中央値
- mFFX:53.5カ月 (95% CI, 43.5-58.4)
- ゲムシタビン:35.5カ月 (95% CI, 30.1-40.3)
HR 0.68, 95%CI 0.54-0.85, P=0.001
- 5年OS
- mFFX:43.2%
- ゲムシタビン:31.4%
- 無転移生存期間中央値
- mFFX:29.4カ月 (95%CI 21.4-40.1)
- ゲムシタビン:17.7カ月 (95%CI 14.0-21.2)
HR 0.64, 95% CI, 0.52-0.80; P<0.001
- 癌特異的生存期間中央値
- mFFX:54.7カ月 (95% CI, 45.8-68.4)
- ゲムシタビン:36.3カ月 (95% CI, 30.5-43.9)
HR 0.65, 95%CI 0.51-0.82, P<0.001
- 多変量解析では, mFFX, 年齢, 腫瘍グレード, 腫瘍病期, および大規模施設がOSの有意に有利な予後因子として同定された.
- 再発遅延の短さは, 予後不良因子であった.
結論
RODIGE 24/Canadian Cancer Trials Group PA6無作為化臨床試験の最終5年結果は, 切除術をうけた膵管腺癌患者において, mFFXによるアジュバント治療はゲムシタビンより有意に長い生存期間をもたらすことを示した.