海外ジャーナルクラブ
24日前

Brownらは、 無作為化比較試験でaducanumabが投与された、 TREM2遺伝子のp.R47H変異を有する軽度認知障害 (MCI) の50代男性症例を対象に、 抗アミロイドβ抗体aducanumab (アデュカヌマブ、 日本未承認) 投与によるアミロイド除去とその後の神経病理との関連を検討した結果を報告した。 同症例報告によると、 男性には4.5年間にわたってaducanumabが30回 (累積投与量280 mg/kg) 投与されたが、 その後、 アミロイドが広範に除去された脳領域では未治療対照群と比べて剖検時のタウ病理がより軽度であり、 生前MRIで評価した萎縮の進行もより緩徐であることが示された。 この症例報告はJAMAに発表された。
治療前のタウPET画像がないため、 アミロイド除去がタウ病変に影響したのか、 あるいはタウ病変が治療反応に影響したのかを判断できません。
アミロイドを標的とする治療によって長期的な効果が得られるかどうかは、 その後に生じる神経病理学的変化の進行を抑制できるか否かにかかっている。 しかし、 アミロイド除去がタウ病理や神経変性に及ぼす影響については、 ほとんど明らかにされていなかった。
今回の報告は、 単施設における臨床病理学的症例報告である。 対象は、 アルツハイマー病リスクを高めることが知られているTREM2遺伝子p.R47H変異を保有する、 MCIの50歳代男性1例。 男性は無作為化比較試験に参加してaducanumabによる治療を受けた。また、 男性と年齢およびTREM2変異の有無でマッチングした未治療の対照14例を組み入れた。
男性には4.5年間にaducanumabが計30回 (累積投与量280 mg/kg) 投与された。その後、 剖検時の神経病理学的評価、PETを用いたアミロイドおよびタウの集積量の指標である標準化取り込み値比 (SUVR)の測定、 MRIを用いた大脳皮質厚の経時的変化の評価が行われた。
aducanumabの最終投与から4年後に患者は死亡した。 剖検では脳領域によってアミロイド病理の程度にばらつきがあり、 アミロイドが著しく少ない領域がある一方、 深部皮質層では典型的な高度のアミロイド蓄積がみられ、 表層皮質層ではアミロイド蓄積が少ないことが示された。
未治療の対照群と比べてaducanumab投与後の男性ではアミロイドが低値を示した脳領域は脳回頂に選択的に認められた。 また、 これらの領域では剖検時のタウ病理が軽度であるとともに、 生前のMRIで評価した経時的な脳萎縮の進行も緩徐であった (β=-0.50、 95%CI -0.62 ~ -0.37、 t=-7.96、 p<.001)。一方、 aducanumab投与後の男性においてアミロイドが高値を示した領域は脳溝底に選択的に認められ、 同領域における剖検時のタウ病理の程度は未治療の対照群と同程度であった。
著者らは、 「本症例報告では、アミロイド標的治療によってアミロイドが広範囲で除去された領域では、 その後の神経病理学的変化が軽度であることが示された。 また、 アミロイド除去は脳回頂部で選択的に起こる可能性が示唆された」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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