HOKUTO編集部
1年前
2023年10月20日~24日にスペイン・マドリードで開催された「欧州臨床腫瘍学会 ESMO2023」の注目演題ハイライト記事を掲載いたします。
肺癌だけでもN Engl J Med 誌(ESMO 2023発表同時掲載)から4報、 と日常臨床を変えるデータがこれでもかと発表されました。 スペースの関係で割愛せざるをえませんが、 ここ1~2年で実臨床に影響してきそうなものを中心に紹介します。(和歌山県立医科大学附属病院 赤松弘朗先生) (詳細をみる)
「sensitizing uncommon」 と定義されたEGFR遺伝子変異が陽性の未治療非扁平上皮NSCLCに対して、 第二世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬 (EGFR-TKI) アファチニブの有効性および安全性を標準化学療法を対照群として検証した第Ⅲ相無作為化比較試験ACHILLES/TORG1834の結果から、 増悪リスクが58%と大幅に低減したことが示された。 新潟県立がんセンター新潟病院内科部長の三浦理氏が発表した (詳細をみる)
IB〜IIIA期のALK転座陽性進行非小細胞肺癌 (NSCLC) 患者を対象に、 術後療法におけるALK阻害薬アレクチニブの有効性と安全性を検証する第Ⅲ相試験ALINAの中間解析結果が報告された。 その結果、 アレクチニブによる治療はプラチナ製剤ベースの化学療法に比べて有意にNSCLC患者の無病生存期間 (DFS) を改善した。 オーストラリア・Peter MacCallum Cancer CentreのBenjamin J. Solomon氏が発表した (詳細をみる)
EGFR遺伝子変異陽性の局所進行/転移性非小細胞肺癌 (NSCLC) 患者の1次治療において、 amivantamab+lazertinibの併用療法の有効性および安全性について、 オシメルチニブ単剤を対照として比較検討した第Ⅲ相ランダム化比較試験MARIPOSAの結果から、 無増悪生存期間 (PFS) の有意な改善が示された。韓国・Yonsei Cancer CenterのByoung Chul Cho氏が発表した (詳細をみる)
非小細胞肺癌 (NSCLC) の2次、 3次治療において、 抗TROP2抗体薬物複合体であるdatopotamab deruxtecan (Dato-DXd/DS-1062) の有効性および安全性を標準治療のドセタキセル (DTX) を対照に比較する第Ⅲ相国際共同非盲検無作為化比較試験TROPION-Lung01の中間解析の結果から、 無増悪生存期間 (PFS) の有意な延長が認められた。 米・David Geffen School of Medicine at UCLAのAaron Lisberg氏が発表した (詳細をみる)
Ahnらは、 治療歴のある小細胞肺癌患者を対象に、 二重特異性T細胞誘導(BiTE)抗体tarlatamabの有効性と安全性を第Ⅱ相試験DeLLphi-301で検討した。 その結果、 tarlatamabは持続的な客観的奏効を伴う抗腫瘍活性を示し、 生存成績も有望であった。 本研究はNEJM誌において発表されたと同時に、2023年10月20~24日にスペイン・マドリードで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2023)で発表された (詳細をみる)
本年の春に開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO) 2023では非常に示唆に富む消化器癌関連の研究結果が報告されたが、 先日開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO) 2023でも今後の実臨床に大きな影響を与えうる研究結果が数多く報告された。今回は癌種と治療セッティング別に注目演題を整理し、 HOKUTOのユーザーの皆様と共有ができればと考えている。(国立がん研究センター中央病院 山本駿先生) (詳細をみる)
転移を有するまたは再発性の膵癌の1次治療を対象に、 modified FOLFIRINOX療法 (mFOLFIRINOX) またはS-IROX (S-1+イリノテカン+オキサリプラチン) 療法の有効性および安全性について、 標準療法であるnab-パクリタキセル(nab-PTX)+ゲムシタビン(GEM)併用療法に対する優越性を検証した多施設共同非盲検第Ⅱ/Ⅲ相無作為化3群比較試験JCOG1611/GENERATEの結果から、 優越性は証明されなかった。 国立がん研究センター中央病院肝胆膵内科の大場彬博氏が発表した (詳細をみる)
化学療法抵抗性でKRAS G12C変異陽性の転移性大腸癌(mCRC)患者を対象に、 KRAS G12C阻害薬ソトラシブと抗EGFR抗体パニツムマブの併用療法の有効性と安全性について、標準化学療法を対照に検証した第Ⅲ相試験CodeBreaK 300の結果から、 ソトラシブ+パニツムマブ併用療法は、 いずれの用量においても標準治療に比べて無増悪生存期間 (PFS) を有意に延長した。 イタリア・Fondazione IRCCS Istituto Nazionale dei TumoriのFilippo Pietrantonio氏が発表した。 同試験の詳細はN Engl J Med 2023年10月22日オンライン版に掲載された (詳細をみる)
未治療の切除可能な局所進行胃/食道胃接合部 (G/GEJ) 腺癌の周術期における化学療法への抗PD-1抗体ペムブロリズマブ上乗せの有効性と安全性を検証した第Ⅲ相ランダム化二重盲検比較試験KEYNOTE-585の主解析結果から、 周術期にペムブロリズマブを上乗せすると、 化学療法単独と比べて病理学的完全奏効率 (pCR) を達成したものの、 無イベント生存期間 (EFS) の有意な延長は認められなかった。 国立がん研究センター東病院消化管内科長の設楽紘平氏が発表した (詳細をみる)
欧州臨床腫瘍学会(ESMO2023)ではPresidential sessionが1つ、その他Late-breaking abstractが8つと、話題の演題がたくさんありました。転移再発ホルモン受容体(HR)+HER2-乳癌を対象としたTrop2抗体薬物複合体datopotamab deruxtecan(Dato-DXd)のTROPION-Breast01試験をはじめとして、HR+HER2-周術期のKEYNOTE-756試験、CheckMate 7FL試験、… (続きを読む)(がん研有明病院 尾崎由記範先生)
ホルモン受容体陽性HER2陰性かつリンパ節転移陽性で再発リスクが高い早期乳癌患者の術後内分泌療法において、CDK4/6阻害薬アベマシクリブを追加することが有効かどうかを検討する第Ⅲ相試験monarchEでは、 これまでの中間解析で無浸潤疾患生存期間 (IDFS) や遠隔無転移生存期間 (DRFS) の改善が示されてきた。 今回、 2年間のアベマシクリブ投与から3年、 計5年追跡した中間解析結果が報告され、長期成績においても良好な成績が示された。 ドイツ・Breast Center, LMU University HospitalのNadia Harbeck氏が発表した (詳細をみる)
化学療法の前治療歴のある、 手術不能または転移性のHR+/HER2-乳癌患者を対象に、 抗TROP2抗体薬物複合体であるdatopotamab deruxtecan (Dato-DXd/DS-1062) の有効性および安全性について、 従来の化学療法を対照として比較検討した第Ⅲ相ランダム化比較試験TROPION-Breast01の結果から、 無増悪生存期間 (PFS) の有意な改善が示された。 米・Massachusetts General Hospital Cancer CenterのAditya Bardia氏が発表した (詳細をみる)
今年の欧州臨床腫瘍学会 (ESMO 2023) は、 スペイン・マドリードで開催された。 マドリードはESMO開始に合わせたように急に肌寒くなり、 街路樹も秋の装いを見せていた。 それに対して、 ESMO会場は朝も暗いうちから夕方遅くまで、 世界中から多くのオンコロジスト達が集まり、 非常に熱気に帯びた発表と議論が繰り広げられた。(虎の門病院 三浦裕司先生) (詳細をみる)
前治療歴のない局所進行または転移性の尿路上皮癌 (la/mUC) 患者を対象に、 抗Nectin-4標的抗体薬物複合体エンホルツマブ ベドチン (EV) とペムブロリズマブ (Pem) の併用療法の有効性および安全性について、 従来の化学療法を対照として比較検討した第Ⅲ相ランダム化比較試験EV-302/KEYNOTE-A39の結果から、 無増悪生存期間 (PFS) と全生存期間 (OS) の有意な改善が示された。 英・Saint Barts Cancer InstituteのThomas Powles氏が発表した (詳細をみる)
未治療の切除不能または転移性尿路上皮癌患者を対象に、 ニボルマブ (NIVO) とゲムシタビン・シスプラチン (GC療法) の併用療法の有効性および安全性について、 GC単独療法を対照として比較検討した第Ⅲ相ランダム化比較試験CheckMate 901の結果から、 全生存期間 (OS) と無増悪生存期間 (PFS) の有意な改善が示された。 オランダ・Netherlands Cancer InstituteのMichiel S. van der Heijden氏が発表した。 同試験の詳細はN Engl J Med 2023年10月22日オンライン版に掲載された (詳細をみる)
抗PD-1/L1抗体と血管内皮細胞増殖因子チロシンキナーゼ阻害薬 (VEGF-TKI) による治療後に病勢進行を認めた淡明細胞型腎細胞癌 (ccRCC) の成人患者を対象に、 経口低酸素誘導因子 (HIF) -2α阻害薬belzutifanの有効性および安全性をエベロリムスを対照に検証した非盲検第Ⅲ相試験LITESPARK-005の中間解析の結果から、 belzutifanはエベロリムスと比較して無増悪生存期間 (PFS) と客観的奏効率 (ORR) を有意に改善した。 フランス・Université Paris SaclayのLaurence Albiges氏が発表した (詳細をみる)
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。