海外ジャーナルクラブ
2年前
Maedaらは、 抗がん薬承認のための臨床試験を対象にサロゲートエンドポイント (SEP) の使用状況と調査し、 全生存期間 (OS) をエンドポイントとする確認試験の実施状況を横断研究で調査。 その結果、 2005年以降、 日本における抗がん薬承認の根拠となる試験においてエンドポイントとしてのOSの使用が増加傾向にあるものの、 SEPに基づく承認が依然として多いことが明らかになった。 本研究はJAMA Netw Open誌に発表された。
抗がん薬研究のエンドポイントの研究です。 感染症や脳血管障害に対する薬剤においても同じようなやり方での研究が可能です。 このような研究を目にすることが、 自分の専門領域以外の他領域の論文を普段から目にする最大の利点だと思います。
SEPは、 臨床試験での真の臨床的利益を測定する代替手段であり、 その利用により試験期間が短縮される。
2001年1月〜20年12月に日本で承認された抗がん薬について、 医薬品医療機器総合機構(PMDA)ホームページなどの公開情報から、 医薬品の承認と背景情報を入手。
日本で承認された抗がん薬の特徴、 重要な臨床試験のエンドポイント、 医薬品承認後にOSをエンドポイントとした確認試験の結果。
承認された抗がん薬は299品目であり、 非小細胞肺がんを対象とした分子標的薬が47.5% (142品目) と最も多くなっていた。 また、 希少疾病用医薬品に指定されている抗癌剤は37.1% (111品目) であった。
2001~05年の承認では、 OSがエンドポイントとして用いられたのは3.6% (1件) であったが、 2006~20年の承認では31.7% (86件) でOSが用いられていた。
SEPに基づいて承認された212の抗がん薬のうち、 OSをエンドポイントとする確認試験が実施されたのは17.5% (37承認) のみで、 残りの175承認については、 16.5% (35承認) で試験実施中、 35.4% (75承認) で中止、30.7% (65承認) で未実施となった。 また9.4% (20件) では、実施された確認試験がOSの判定に有効でなかったが、再審査の結果、承認された。
2005年以降、 日本における抗がん薬承認の根拠となる試験において、 OSをエンドポイントとして使用することが増加したことを示唆するものである。 しかし、 2005年以降も、 これらの承認の約2/3はSEPに基づくものであった。 SEPの使用を検証するためには、 真のエンドポイントに関する市販後調査研究が必要である。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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