海外ジャーナルクラブ
5ヶ月前
Grimmらは、 転移性尿路上皮癌の患者を対象に、 免疫治療のブーストとしてニボルマブ+イピリムマブを使用した個別化医療の有効性と安全性を第Ⅱ相非無作為化試験で検討した。 その結果、 1次治療群では客観的奏効率 (ORR) が改善したが、 安全性の懸念から1次治療としての使用には注意が必要であることが示された。 2次/3次治療群では、 ニボルマブ単独療法と比較して奏効率に有意な差は見られなかったが、 高用量のイピリムマブを追加投与することで転移性尿路上皮癌患者の腫瘍反応性と生存率が改善する可能性が示された。 本研究は、 JAMA Oncol誌において発表された。
本研究の最大のlimitationは、 より臨床に即した形のため、 時相として同時のコホートではなく前後関係のコホートが含まれており、 結果を比較解釈する際に注意しなければならない点です。
KPS (Karnofsky Performance Scale)
プラチナ製剤ベースの化学療法後の転移性尿路上皮癌に対しニボルマブを用いた研究では、 高用量のイピリムマブを追加投与することで転帰が改善することが示されている。
転移性尿路上皮癌 : 169例
全例にニボルマブ240mgを4回投与 (2週毎に1回) し、 8週時点の非奏効例にはニボルマブ+イピリムマブ (3週毎に1回) を投与した。
患者は以下の群に割り付けられた。
コホート1 (イピリムマブ用量漸増群)
1次治療群 : 42例
2次/3次治療群 : 44例
コホート2 (イピリムマブ高用量群)
2次/3次治療 : 83例
なお、 安全性が懸念されたため、 コホート1の治療は中止され、 コホート2の1次治療は行われなかった。
ORR
コホート1
1次治療群 : 29%
2次/3次治療群 : 23%
コホート2 : 20%
コホート1
1次治療群 : 48%
2次/3次治療群 : 27%
コホート2 : 33%
コホート1
1次治療群 : 32%
2次/3次治療群 : 19%
コホート2 : 34%
著者らは、 「この非ランダム化試験において、 コホート1の1次治療群ではORRが改善したが、 かなりの病勢進行 (PD) 事象が認められたため、 1次治療での使用には注意が必要である。 コホート1の2次/3次治療群では、 ニボルマブ単剤療法と比較してORRは改善しなかった。 しかし、 高用量のイピリムマブを追加投与することで、 転移性尿路上皮癌患者の腫瘍反応性と生存率が改善する可能性がある」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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