【JAMA Oncol】転移性尿路上皮癌へのニボルマブ+高用量イピリムマブの効果は?
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海外ジャーナルクラブ

3ヶ月前

【JAMA Oncol】転移性尿路上皮癌へのニボルマブ+高用量イピリムマブの効果は?

【JAMA Oncol】転移性尿路上皮癌へのニボルマブ+高用量イピリムマブの効果は?
Grimmらは、 転移性尿路上皮癌の患者を対象に、 免疫治療のブーストとしてニボルマブ+イピリムマブを使用した個別化医療の有効性と安全性を第Ⅱ相非無作為化試験で検討した。 その結果、 1次治療群では客観的奏効率 (ORR) が改善したが、 安全性の懸念から1次治療としての使用には注意が必要であることが示された。 2次/3次治療群では、 ニボルマブ単独療法と比較して奏効率に有意な差は見られなかったが、 高用量のイピリムマブを追加投与することで転移性尿路上皮癌患者の腫瘍反応性と生存率が改善する可能性が示された。 本研究は、 JAMA Oncol誌において発表された。 

📘原著論文

Nivolumab + Ipilimumab as Immunotherapeutic Boost in Metastatic Urothelial Carcinoma: A Nonrandomized Clinical Trial. JAMA Oncol. 2024 May 9:e240938. PMID: 38722641

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

本研究の最大のlimitationは、 より臨床に即した形のため、 時相として同時のコホートではなく前後関係のコホートが含まれており、 結果を比較解釈する際に注意しなければならない点です。

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HOKUTO編集部

既報では高用量イピリムマブ追加で転帰改善

プラチナ製剤ベースの化学療法後の転移性尿路上皮癌に対しニボルマブを用いた研究では、 高用量のイピリムマブを追加投与することで転帰が改善することが示されている。

第Ⅱ相非無作為化試験で効果を検討

対象

転移性尿路上皮癌 : 169例

すべての患者はKarnofsky Performance Scoreが70%以上で、 RECIST ver.1.1による測定可能病変を有していた。

介入

全例にニボルマブ240mgを4回投与 (2週毎に1回) し、 8週時点の非奏効例にはニボルマブ+イピリムマブ (3週毎に1回) を投与した。

患者は以下の群に割り付けられた。

コホート1 (イピリムマブ用量漸増群)

1次治療群 : 42例

2次/3次治療群 : 44例

ニボルマブ (3mg/kg) +イピリムマブ (1mg/kg) を2回投与し、 奏効しない場合はニボルマブ (1mg/kg) +イピリムマブ (3mg/kg) を2回投与した。

コホート2 (イピリムマブ高用量群)

2次/3次治療 : 83例

ニボルマブ (1mg/kg) +イピリムマブ (3mg/kg) が2~4回投与された。 奏効者はニボルマブ維持療法を継続したが、 その後の進行例に対してはニボルマブ+イピリムマブ投与が可能であった。
なお、 安全性が懸念されたため、 コホート1の治療は中止され、 コホート2の1次治療は行われなかった。

主要評価項目

ORR

3年OS率はイピリムマブ高用量群で34%

ニボルマブによる導入療法のORR

コホート1

1次治療群 : 29%

(12/42例)

2次/3次治療群 : 23%

(10/44例)

コホート2 : 20%

(17/83例)

個別化治療に対するORR

コホート1

1次治療群 : 48%

(90%CI 34-61%)

2次/3次治療群 : 27%

(90%CI 17-40%)

コホート2 : 33%

(90%CI 23-42%)

3年全生存率

コホート1

1次治療群 : 32%

(95%CI 17-49%)

2次/3次治療群 : 19%

(95%CI 8-33%)

コホート2 : 34%

(95%CI 23-44%)

高用量イピリムマブで腫瘍反応性と生存率が改善する可能性

著者らは、 「この非ランダム化試験において、 コホート1の1次治療群ではORRが改善したが、 かなりの病勢進行 (PD) 事象が認められたため、 1次治療での使用には注意が必要である。 コホート1の2次/3次治療群では、 ニボルマブ単剤療法と比較してORRは改善しなかった。 しかし、 高用量のイピリムマブを追加投与することで、 転移性尿路上皮癌患者の腫瘍反応性と生存率が改善する可能性がある」 と報告している。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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