海外ジャーナルクラブ
2年前
Sandbornらは、 中等症から重症の活動性潰瘍性大腸炎 (UC) 患者を対象に、 導入療法として用いるリトレシチニブ (経口JAK3/TEC阻害剤) とブレポシチニブ (経口TYK2/JAK1阻害剤) の有効性と安全性を第Ⅱb相並行群二重盲検アンブレラ試験で検討。 その結果、 リトレシチニブおよびブレポシチニブによる導入療法は、 中等症から重症の活動性UCの治療においてプラセボよりも有効であり、 短期の安全性プロファイルは許容範囲であった。 本研究は、 Clin Gastroenterol Hepatol誌において発表された。
8週間の短期試験ですが、 疾患自体が慢性炎症疾患であることから長期アウトカムに期待が寄せられます。 JAK阻害薬は、 関節リウマチや円形脱毛症、 本疾患のような潰瘍性大腸炎にまでその効果が証明されています。
中等症から重症の活動性UC患者
患者を以下の群に無作為に割り付け。
リトレシチニブ群:150名 (20、 70、 200mg)
ブレポシチニブ群:142名 (10、 30、 60mg)
プラセボ群:25名
8週目のtotal Mayo Score (TMS)
第8週におけるプラセボ調整後の平均TMS (90%CI)
リトレシチニブ群
ブレポシチニブ群
8 週目にmodified clinical remissionを得た患者のプラセボ調整後の割合の推定値 (90% CI)
リトレシチニブ群
ブレポシチニブ群
有害事象はほとんどが軽度であり、 帯状疱疹感染症の重篤な症例は認められなかった。
感染症は、 ブレポシチニブ群で16.9%、 リトルシチニブ群で8.7%、 プラセボ群で4.0%認められた。
心筋梗塞による死亡が1例 (リトレシチニブ群)、 血栓塞栓症が1例 (ブレポシチニブ群) 発生したが、 いずれも試験薬とは無関係であると考えられた。
リトレシチニブおよびブレポシチニブによる導入療法は、 中等症から重症の活動性UCの治療においてプラセボよりも有効であり、 短期の安全性も許容範囲であった。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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