海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前
Karlqvistらは、 炎症性腸疾患 (IBD) 患者を対象に、 ヒト化抗ヒトα4β7インテグリンモノクローナル抗体製剤ベドリズマブと抗腫瘍壊死因子 (TNF) 薬による重篤な感染症のリスクをコホート研究で検討した。 その結果、 クローン病においては、 ベドリズマブが抗TNF薬と比較して重篤な感染症のリスクと関連していることが明らかとなった。 本研究は、 Am J Gastroenterol誌にて発表された。
今までの単施設・小規模の患者数ではない、 スウェーデン国民健康レジストリからの大きな解析結果です。 しかし、 喫煙やステロイド投与の有無などが調整されていない因子として残っています。
IBDの治療において、 ベドリズマブと抗TNF薬は一般的に使用されているが、 それぞれの治療がもたらす重篤な感染症リスクの違いは明確にされていない。
本研究では、 ベドリズマブによる治療を受けたIBD患者における重篤な感染症のリスクを、 抗TNF薬による治療を受けた患者および一般集団と比較して評価することを目的とした。
スウェーデンの国民健康レジストリからIBD患者におけるベドリズマブや抗TNF薬による治療エピソードを抽出した。
その後、 傾向スコアを用いて患者の特徴を合わせたコホートを作成し、 Cox回帰を用いて重篤な感染症の発症*に関するハザード比 (HR) を推定した。
クローン病(CD)の治療エピソードは1,376件であった。 各群の100人年当たりの重篤な感染症の発症率とHRは以下の通り (括弧内は95%CI)であり、 ベドリズマブ群で重篤な感染症のリスクが増加していた。
なお、 ベトリズマブ群で発症した感染症は、 主に消化管感染症であることが示唆された。
潰瘍性大腸炎(UC)の治療エピソードは1,294件であった。 各群の100人年当たりの重篤な感染症の発症率とHR は以下の通り(括弧内は95%CI)であり、 薬剤による重篤な感染症のリスクに差は見られなかった。
なお、 抗TNF薬群で発生した感染症の40%が肺炎であるのに対し、 ベドリズマブ群では肺炎の症例が報告されなかった。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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