【Am J Gastroenterol】クローン病へのベドリズマブで重篤な感染症リスク増
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海外ジャーナルクラブ

3ヶ月前

【Am J Gastroenterol】クローン病へのベドリズマブで重篤な感染症リスク増

【Am J Gastroenterol】クローン病へのベドリズマブで重篤な感染症リスク増
Karlqvistらは、 炎症性腸疾患 (IBD) 患者を対象に、 ヒト化抗ヒトα4β7インテグリンモノクローナル抗体製剤ベドリズマブと抗腫瘍壊死因子 (TNF) 薬による重篤な感染症のリスクをコホート研究で検討した。 その結果、 クローン病においては、 ベドリズマブが抗TNF薬と比較して重篤な感染症のリスクと関連していることが明らかとなった。 本研究は、 Am J Gastroenterol誌にて発表された。 

📘原著論文

Comparative Risk of Serious Infection With Vedolizumab vs Anti-Tumor Necrosis Factor in Inflammatory Bowel Disease: Results From Nationwide Swedish Registers. Am J Gastroenterol. 2024 Jul 12. Online ahead of print. PMID: 38994835

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

今までの単施設・小規模の患者数ではない、 スウェーデン国民健康レジストリからの大きな解析結果です。 しかし、 喫煙やステロイド投与の有無などが調整されていない因子として残っています。

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目的

IBDでの重篤な感染症リスクをベドリズマブ vs 抗TNF薬で比較

IBDの治療において、 ベドリズマブと抗TNF薬は一般的に使用されているが、 それぞれの治療がもたらす重篤な感染症リスクの違いは明確にされていない。

本研究では、 ベドリズマブによる治療を受けたIBD患者における重篤な感染症のリスクを、 抗TNF薬による治療を受けた患者および一般集団と比較して評価することを目的とした。

研究デザイン

抽出した治療エピソードを基にHRを推定

スウェーデンの国民健康レジストリからIBD患者におけるベドリズマブや抗TNF薬による治療エピソードを抽出した。

その後、 傾向スコアを用いて患者の特徴を合わせたコホートを作成し、 Cox回帰を用いて重篤な感染症の発症*に関するハザード比 (HR) を推定した。

* 「入院を必要とする感染症」 と定義

結果

CDではベドリズマブで重篤な感染症のリスク増

クローン病(CD)の治療エピソードは1,376件であった。 各群の100人年当たりの重篤な感染症の発症率とHRは以下の通り (括弧内は95%CI)であり、 ベドリズマブ群で重篤な感染症のリスクが増加していた。

  • ベドリズマブ群 : 5.18(3.98-6.63) 
  • 抗TNF薬群 : 3.54 (2.50-4.85) 
  • HR 1.72 (1.12-2.65)
  • マッチさせた一般集団群 : 0.75 (0.59-0.92) 
  • HR 7.00 (5.04-9.72) 

なお、 ベトリズマブ群で発症した感染症は、 主に消化管感染症であることが示唆された。

UCでは重篤な感染症リスクに差なし

潰瘍性大腸炎(UC)の治療エピソードは1,294件であった。 各群の100人年当たりの重篤な感染症の発症率とHR は以下の通り(括弧内は95%CI)であり、 薬剤による重篤な感染症のリスクに差は見られなかった。

  • ベドリズマブ群 : 3.74 (2.66-5.11) 
  • 抗TNF薬群 : 3.42 (2.31-4.89) 
  • 最初の1.1年間のHR 0.80(0.47-1.36)
  • 1.1年以降のHR 2.03 (0.65-6.32*)
*非比例HRのため切り捨て)
  • マッチさせた一般集団群 : 0.69 (0.53-0.87) 
  • HR 5.45 (3.67-8.11) 

なお、 抗TNF薬群で発生した感染症の40%が肺炎であるのに対し、 ベドリズマブ群では肺炎の症例が報告されなかった。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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