【JAMA】院外心停止後の初期治療、SpO₂目標値を低くしても生存率は改善されず
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海外ジャーナルクラブ

1年前

【JAMA】院外心停止後の初期治療、SpO₂目標値を低くしても生存率は改善されず

【JAMA】院外心停止後の初期治療、SpO₂目標値を低くしても生存率は改善されず
Bernardらは、 院外心停止ROSC後の成人患者を対象に、 初期治療において酸素飽和度 (SpO₂) を低く設定することが退院時の生存率に与える影響を多施設共同並行群間無作為化臨床試験で検討。 その結果、 院外心停止ROSC後の患者において、 集中治療室入室までのSpO₂を90~94%に目標設定しても、 退院までの生存率を有意に改善することはなかった。 本研究は、 JAMA誌において発表された。

📘原著論文

Effect of Lower vs Higher Oxygen Saturation Targets on Survival to Hospital Discharge Among Patients Resuscitated After Out-of-Hospital Cardiac Arrest: The EXACT Randomized Clinical Trial. JAMA. 2022 Oct 26. doi: 10.1001/jama.2022.17701.PMID: 36286192

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

Hyperoxiaの害は多くの観察研究で発表されましたが、 本RCTでは確認されませんでした。 これが観察研究と介入研究の違いの醍醐味であり、 academic physicianはこの結果を日常診療とアカデミアの経験からある程度予測できるようになりたいものですね。


背景

院外心停止時のROSC後の高濃度酸素投与は、 再灌流脳傷害を増加させる可能性がある。

研究デザイン

  • 対象:ROSCし、 SpO₂が95%以上であった意識のない成人患者が対象
  • 患者を以下の2群に無作為に割り付け
  • 介入群:216名 (集中治療室到着までSpO₂ 90~94%)
  • 標準ケア群:212名 (集中治療室到着までSpO₂ 98~100%)
  • 主要評価項目:退院までの生存率
  • 副次評価項目:低酸素症エピソード (SpO₂<90%)、 再度の心停止を伴う低酸素症を含む事前に規定した重篤な有害事象など9つの副次的転帰

研究結果

COVID-19の大流行により試験は早期に中止された。

退院までの生存

  • 介入群:38.3% (214名中82 名)
  • 標準ケア群:47.9% (211名中101名)
差:-9.6%、 95%CI -18.9--0.2、 未調整OR:0.68、 95%CI 0.46-1.00、 P=0.05

その他の評価項目

  • 9つの副次的転帰のうち、 8 つは有意差を示さなかった。
  • 集中治療前の低酸素症エピソード
  • 介入群:31.3% (67名)
  • 標準ケア群:16.1% (34名)
差:15.2%、 95%CI 7.2-23.1、 OR 2.37、 95%CI 1.49-3.79、 P<0.001

結論

院外心停止ROSC後の患者において、 SpO₂を90~94%に目標設定しても、 退院までの生存率を有意に改善することはなかった。 本試験はCOVID-19の流行による早期終了という制約があるが、 心停止からの蘇生後の院外での酸素飽和度目標値を90~94%とすることは支持されないことが示された。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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