寄稿ライター
12日前

こんにちは、 Dr.Genjohです。 前回に引き続き 「経済財政運営と改革の基本方針2026」、 いわゆる 「骨太の方針2026」、 それを取りまとめた第129回社会保障審議会医療部会の公開資料につき読み解いていきましょう。
>>前回はコチラ
前回はいかに社会保障を圧縮するか、 に焦点が置かれていました。 今回のメインテーマは縮小する医療全体の中で何が求められるか、 相対的に保全されるのはどの領域か、 についてみてゆきましょう。

上記資料では 「物価と賃金に適切に対応し」 「処遇改善をはかる」 とあります。
社会保障費という原資が不足する中で、 上昇しつづける物価と賃金に適切に対応し処遇改善を図ることは矛盾しているように見えます。
ところが政府は 「経営情報の見える化を進め」 「DX/AX/チーム医療による生産性の向上と職員配置の柔軟化」 も同時に求めています。
端的に言えば、 「DX/AXの活用や他職種の業務も兼任させることで、 労働者個人が短時間により多い量の、 多様な業務を行えるように無駄省きしろ。 無駄省きの結果発生した余剰人員はリストラしろ。 リストラして浮かせた人件費を残った人員に配布して、 物価賃金上昇に負けないレベルで給料を上げろ。 経営情報を公開させて公的に監視するから、 無駄省きできる箇所なんて無い…などと逃げようとしても無意味だぞ。 」 ということです。
下の段落では、 「病床数の適正化」 「地域医療構想を踏まえた医療機関」 「看取り」 「かかりつけ医機能の発揮」 「医師偏在・診療科偏在」 「医学部定員の削減」 が求められると言及されています。

これは裏を返すとこれから不要であると扱われるもの、 と読み替えることが出来ます。
すなわち、 「余剰ベッド(=無意味な入院で稼ぐ病院)」 「地域医療構想に含まれない医療機関(別記事で詳記します)」 「看取り・かかりつけ医機能を果たさない小規模病院や開業医」 「都会の医師・人気の診療科医師」 「医師そのもの」 です。

一方で、 今後政府が重要視したい=優先して生き残らせたい医療についても同じ資料の中で羅列されています。
がん、 糖尿病、 心臓病その他の循環器病、 慢性腎臓病、 慢性閉塞性肺疾患、 慢性疼痛、 難病、 アレルギー、 依存症、 難聴、 睡眠障害などの疾病対策、 精密検診、 歯科疾患、 認知症、 リハビリ、 などです。
その理由は非常に明確に示されており、 「健康寿命の延伸を図り、 誰もが社会の担い手として活躍できる日本」 を実現したいからです。

少子高齢化の中で、 生産活動を増やし、 社会保障費を削るために最も効率的な方法は、 高齢者の定義の見直しです。 (13の社会保障改革項目について合意された具体的な骨子(5))
高齢者の定義を仮に75歳からとし、 それ未満を生産年齢人口と再定義します。 すると日本国民は75歳に至るまでは労働を続けることでGDPを産出し続けます。 ある程度の収入が期待されるため医療費の自己負担割合が重くても耐える事ができます。 おまけに年金支給開始年も遅らせることができ年金基金も破綻しません(なお、 個人の収支としては大損)。
国にとってはいいことづくめです(国民個人にとっては、 引退が許されず死ぬまで仕事ということになりますが…)。 ところが75歳になる前に病に冒されてしまっては、 生産年齢人口が減り社会保障費を消耗する側に回ってしまいます。
重病によって大事な労働力が棄損されることがないように、 国はwell-beingの向上と健康寿命の延伸を強力に求めています。
今後我々に期待される役割も、 将来の重病につながり得る基礎疾患に対する攻めの予防医療や、 重病となっても働き続けられる能力を保持するための質の高い治療やリハビリとなるのでしょう。

Xアカウント : @DrGenjoh

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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