HOKUTO編集部
13時間前

心血管疾患の既往がない70歳以上の高齢者を対象に、 アトルバスタチンの複合心血管イベント (MACE) 抑制効果と、 認知症または身体機能障害を伴わない生存期間 (disability-free survival、 以下、 障害のない生存期間) の延長効果について評価したSTAREE試験の結果、 MACEのリスクは有意に低下した一方で、 障害のない生存期間の有意な延長は示されなかった。 オーストラリア・Monash UniversityのSophia Zoungas氏が発表した。 同試験の詳細は、 N Engl J Med誌2026年8月28日オンライン版¹⁾に掲載された。
心血管疾患の高リスク例や既往例において、 スタチンによる心筋梗塞や虚血性脳卒中のリスク低下は十分確立されている。 一方、 心血管イベントの既往がない高齢者で新たにスタチン療法を開始することの有益性については明確に示されておらず、 特に75歳超ではエビデンスが乏しい。 そのため、 ガイドラインでも70歳超へのスタチン処方に関しては強い推奨が示されていない。 また、 認知症や身体機能障害を含む障害のない生存期間を主要評価項目に設定した大規模試験も不足していた。
対象は、 オーストラリアの一般診療施設で登録された、 心血管疾患、 糖尿病、 認知症の既往がなく生活が自立している70歳以上の成人9,971例。 対象者は以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けられた。
主要評価項目は、 ①心血管死、 非致死性心筋梗塞/脳卒中、 血行再建術の複合 (MACE)、 ②全死亡、 認知症、 持続的な身体機能障害の複合 (障害のない生存期間の指標) の2つであり、 階層的検定手順により①から順に検定された。 対象者の平均年齢74.7歳、 女性51.9%、 追跡期間中央値5.9年であった。
MACEはアトルバスタチン群で297例 (10.9件/1,000人年)、プラセボ群で412例 (15.5件/1,000人年) に発生し、 プラセボ群と比べてアトルバスタチン群では有意なリスクの低下が認められた (HR 0.70 [95%CI 0.61–0.82]、 両側p<0.001)。 追跡期間中央値5.9年の時点でMACE1件を予防するために必要な治療数 (NNT) は37であった。
もう1つの主要評価項目である障害のない生存期間の指標とした複合イベントは、 アトルバスタチン群で637例 (21.6件/1,000人年)、 プラセボ群で676例 (23.0件/1,000人年) に発生し、 有意な群間差は認められなかった (HR 0.94 [95%CI 0.84–1.05]、 p=0.25)。
副次評価項目については、 プラセボ群と比べたアトルバスタチン群における致死性・非致死性心筋梗塞のHRは 0.57 (95%CI 0.43–0.75)、 血行再建術のHRは0.57 (95%CI 0.45–0.72) であった。
一方、 脳卒中 (HR 0.87 [95%CI 0.68–1.11])、 全死亡 (HR 0.91 [95%CI 0.79–1.04])、 認知症 (HR 1.03 [95%CI 0.87–1.21]) については明確な群間差は認められなかった。
重篤な有害事象の発生率はアトルバスタチン群で2.7% (131例) であり、 プラセボ群の2.7% (129例) と同程度であった。 一方、 医学的に重要な有害事象はアトルバスタチン群で8.8%(430例)、 プラセボ群で6.7%(324例)に発生し、 このうち肝胆道系 (1.4% vs 0.3%)、 糖尿病関連 (1.1% vs 0.7%)、 筋骨格系 (1.1% vs 0.9%) の有害事象の発生率がプラセボ群と比べてアトルバスタチン群で高かった。
Zoungas氏は、 「STAREEは70歳以上の1次予防でアトルバスタチンの心血管ベネフィットを示した初の大規模試験である。 障害のない生存期間の延長は示されなかったが、 高齢者にとって障害のない生存期間は重要なアウトカムであり、 今後の研究でも焦点とすべきである。 また、 本試験のデータは高齢者におけるスタチン使用の安全性を裏付けるものである」 と報告した。
1) N Engl J Med. 2026年8月28日オンライン版
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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