HOKUTO編集部
1年前
解説:赤松弘朗先生¹⁾ / 監修:津谷康大先生²⁾
EGFR遺伝子変異陽性例では、 免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) 単剤の有効性が乏しいため、 化学療法の上乗せが期待されてきた。
今年の米国臨床腫瘍学会(ASCO 2023)において、 プラチナ併用+ペムブロリズマブとプラチナ併用療法単独を比較した第Ⅲ相試験KEYNOTE-789¹⁾ が報告され、 無増悪生存期間 (PFS) の優越性は示されず、 Kaplan-Meier曲線もほぼ同じであった (関連記事)。 これは昨年報告されたプラチナ併用+ニボルマブとプラチナ併用の試験結果を再現するものであった (CheckMate 722)。
さらに、 血管新生阻害薬を上乗せする4剤併用については、 IMpower150試験²⁾のサブセットやORIENT-31試験³⁾より有望な可能性が示唆されているが、 4剤併用の毒性に対する忍容性を考えると全例で用いることができるレジメンではない。
以上より、 3 (症例によって1)。
CheckMate 722試験やKEYNOTE-789試験の結果からはEGFR遺伝子変異陽性肺腺癌に対する化学療法にICIを追加する意義は乏しいと考えられる。 IMpower150試験やORIENT-31試験の結果からは血管新生阻害薬との併用のもとで化学療法にICIを追加する有用性が示されている。 またしばしば予後不良となる肝転移症例にも有効性が示されている。
以上からPS 1であるが、 忍容性があれば積極的に1を考えたい。 ベバシズマブ投与が困難な場合は3となる。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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