海外ジャーナルクラブ
1ヶ月前
Lernerらは、 筋層浸潤性膀胱癌(MIBC)を対象に、 拡大リンパ節郭清が無病生存率 (DFS) および全生存期間 (OS) へ及ぼす影響について、 第Ⅲ相無作為化比較試験SWOG S1011で検討した。 その結果、 拡大リンパ節郭清は標準的リンパ節郭清に比べ、 DFSおよびOSを改善せず、 周術期における有害事象 (AE) 発現率および死亡率は高くなった。 本研究はNEJMにて発表された。
「本試験の結果は、 尿路上皮の組織学的特徴が優勢で、 臨床病期がT2~T4aでリンパ節転移陽性が2個以下の患者のみ適応される」と記載されています。
筋層浸潤性尿路上皮癌への術後ペムブロリズマブでDFS改善 : AMBASSADOR
筋層浸潤膀胱癌への術前・術後デュルバルマブでEFS・OSが改善 : NIAGARA
根治的膀胱切除術を受けるMIBC患者において、 拡大リンパ節郭清が標準的リンパ節郭清と比較して、 DFSおよびOSを改善するかどうかは明らかにされていない。
T2~T4aかつリンパ節転移個数が2個以下のMIBC患者658例が、 以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けられた。
無作為化は手術中に行われ、 術前療法の既往および種類、 腫瘍病期 (T2 vs T3 または T4a)、 PSスコア (0または1 vs 2) で層別化された。
主要評価項目はDFS、 副次評価項目はOS・安全性とした。
追跡期間中央値6.1年の時点で、 再発または死亡は標準的リンパ節郭清群で127例 (42%)、 拡大リンパ節郭清群で130例 (45%) に発生した。
5年DFS率は標準的リンパ節郭清群が60%、 拡大リンパ節郭清群が56%、 HR 1.10 (95%CI 0.86-1.40)、 p=0.45と、 拡大リンパ節郭清によるDFS率の改善は認められなかった。
5年OS率は標準的リンパ節郭清群が63%、 拡大リンパ節郭清群が59%、 HR 1.13 (95%CI 0.88-1.45) だった。
安全性評価の結果、 Grade3~5のAEは標準的リンパ節郭清群の44%、 拡大リンパ節郭清群の54%に発現した。
術後90日以内の死亡率は標準的リンパ節郭清群が2%、 拡大リンパ節郭清群が7%だった。
著者らは 「MIBCに対する拡大リンパ節郭清は標準的リンパ節郭清に比べ、 患者のDFSおよびOSを改善させず、 Grade3~5のAE発現率と術後90日以内の死亡率が増加した」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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