HOKUTO編集部
8日前

米国臨床腫瘍学会 (ASCO) 2026年次総会が、 2026年5月29日 (金) ~6月2日 (火) に米・シカゴで開催される。 本稿では編集部が事前選定した注目演題のうち、 消化器腫瘍 (膵癌/肝細胞癌/胃癌/大腸癌) と頭頸部腫瘍に関する10題を、 Plenary/Oral/Rapid Oral の順に紹介する。 頭頸部は注目演題が少ないため、 消化器と併せて1本構成でお届けする。
ASCOで最も注目される本会のメインセッション。 今年は全4題中、 消化器領域から1題 (RASolute 302) がピックアップされた。
RAS(ON)阻害薬daraxonrasibを既治療転移性膵癌 (mPDAC) に用いた第Ⅲ相RASolute 302。 企業リリースでは標準化学療法に対するPFS/OSの有意な改善が発表されており、 膵癌2次治療の新たな選択肢として注目される。 multi-RAS阻害薬としての有効性や安全性、 実臨床での位置付けが焦点となる。
6/1の同一Oral Abstract Sessionから、 中間期~進行HCCを巡るIO併用RCTが3本連続で発表される。 「TACE+IO+TKI」 「TACE+IO+TKI (中国発レジメン) 」 「atezo+bev後の2L IO継続」 と、 異なる治療フェーズで第Ⅲ相エビデンスが集積。
TACE適応の中間期HCCに対する 「TACE+トレメリムマブ+デュルバルマブ±レンバチニブ」 を評価した第Ⅲ相。 LEAP-012 (ペムブロリズマブ+レンバチニブ+TACE) ・EMERALD-1 (デュルバルマブ+ベバシズマブ+TACE) に続くTACE併用全身療法の重要試験の一つである。 主要評価項目であるPFSは、 STRIDE+レンバチニブ+TACE群でTACE単独群に対し有意な改善が発表されており、 OSや安全性、 レンバチニブ上乗せの臨床的意義が焦点となる。
切除不能HCCに対する 「TACE+camrelizumab+rivoceranib」 vs TACE単独の第Ⅲ相。 中国発のIO+TKI+局所療法レジメンが、 中間期HCCにおける 「TACE単独で十分か」 の議論に決着をつけるか。 EMERALD-3が 「IO+レンバチニブ上乗せ」 を、 本試験が 「IO+rivoceranib上乗せ」 を問う対比構造で、 TKIパートナーの選択も論点となる。
1次治療のアテゾリズマブ+ベバシズマブ後に進行した局所進行/転移性HCCを対象に、 2次治療としてアテゾリズマブ+レンバチニブまたはソラフェニブを、 レンバチニブまたはソラフェニブ単独と比較した第Ⅲ相IMbrave251の最終解析。 アテゾリズマブ+ベバシズマブ後の治療選択は実臨床上の重要な課題であり、 本試験はTKIへの切り替えに免疫療法継続を上乗せする意義を検証するデータとなる。 HCCにおける2次治療シーケンスを考えるうえで、 有効性と安全性のバランスが注目される。
1次治療として、 ニボルマブ+イピリムマブ+化学療法を評価した、 日本・韓国・台湾で実施された第Ⅲ相ATTRACTION-6。 ニボルマブ+化学療法が標準的位置付けとなる中で、 抗CTLA-4抗体であるイピリムマブを上乗せする臨床的意義が示されるかが焦点となる。
HER2陰性の切除不能進行・再発胃/GEJ癌の1次治療として、 EP4受容体拮抗薬ONO-4578をニボルマブ+化学療法に上乗せする意義を検証した二重盲検ランダム化第Ⅱ相試験ONO-4578-08。 ONO-4578は経口EP4受容体拮抗薬で、 腫瘍微小環境におけるPGE2-EP4シグナルを阻害することで、 抗PD-1療法の効果増強が期待される新規機序の薬剤である。 ニボルマブ+化学療法が標準的位置付けとなる中で、 EP4阻害の上乗せにより有効性を高められるか、 また安全性とのバランスが保たれるかが焦点となる。
PD-L1陽性胃癌を対象に、 術前・術後のserplulimab+化学療法をプラセボ+化学療法と比較したランダム化二重盲検第Ⅲ相試験。 MATTERHORN (デュルバルマブ) やKEYNOTE-585 (ペムブロリズマブ) に続く周術期IO試験として、 pCR、 EFS、 OSにどのような結果が示されるかが注目される。
BRAF V600E変異陽性mCRCの1次治療として、 エンコラフェニブ+セツキシマブ+FOLFIRIを評価した第Ⅲ相BREAKWATERのPFS/OS追跡解析。 先行するmFOLFOX6併用では1次治療での有効性が示されており、 本解析ではFOLFIRI併用の有効性や安全性、 治療選択肢としての位置付けが注目される。
Stage III大腸癌の根治切除後補助療法として、 アスピリン vs プラセボを評価したJCOG主導の二重盲検第Ⅲ相 (EPISODE-III/JCOG1503C) のプライマリ解析。 これまで観察研究や小規模RCTで検討されてきたアスピリン補助療法について、 日本人主体の大規模RCTでどのような結果が示されるかが注目される。 低コストで実装しやすい治療選択肢であり、 有効性と安全性のバランスが焦点となる。
プラチナ感受性の再発/転移性頭頸部扁平上皮癌を対象に、 超低用量免疫療法+経口メトロノミック化学療法と、 標準的なパクリタキセル+カルボプラチンを比較したランダム化第Ⅲ相試験。 低コストかつ忍容性に配慮した治療戦略として、 標準治療に対する有効性と安全性がどこまで示されるかが焦点となる。 医療資源が限られる地域での実装可能性に加え、 日本の臨床現場においても、 外来治療の利便性や高齢患者への適用可能性という観点から注目される。
今年のASCOでは、 消化器領域から膵癌のRAS(ON)阻害薬daraxonrasibを評価したRASolute 302がPlenaryに採択され、 膵癌2次治療の新たな選択肢として注目される。
HCCではTACE+IO+TKIやatezo+bev後のIO継続、 胃癌では1Lイピリムマブ上乗せ・EP4拮抗薬上乗せ・周術期IO療法の試験が発表予定。 大腸癌ではBREAKWATER追跡解析と日本発EPISODE-III/JCOG1503C、 頭頸部では低用量IO戦略のLBAが控えており、 今後の治療選択への影響が議論されそうだ。
ASCO 2026における消化器腫瘍の注目演題は、 国立がん研究センター中央病院頭頸部・食道内科の山本駿先生、 同センター東病院肝胆膵内科医長の今岡大先生にご解説いただく予定です。


HOKUTOでは各演題のレポートを順次公開予定。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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