海外ジャーナルクラブ
15日前
Zieglerらは、 新型コロナウイルス (SARS-CoV-2) に関するワクチンについて、 投与する腕の違いが液性免疫および細胞性免疫に影響を及ぼすかどうかを観察研究で検討。 その結果、 同側でも対側でも強力な免疫応答が誘導されるが、 2回目の接種において初回と同じリンパ節による排出を可能にするワクチン投与経路を選択することで二次的なブースティングがより顕著になることが示された。 本研究は、 eBioMedicine誌において発表された。
ワクチン接種は、 利き腕の反体側、 または交互に行なっている、 など施設によってさまざまです。 抗体価の差よりも中和能が実臨床では重要であり、 同側接種が良さそうです。
新型コロナウイルスの2回接種レジメンにおいて、 2回目に接種する腕 (同側または対側) の違いによる免疫学的効果の差についてはほとんど注目されていなかった。
SARS-CoV-2感染歴のない人:303人
参加者はBNT162b2の2回目接種を同側 (147人) または対側 (156人) の三角筋に投与した。
フローサイトメトリーを用いてスパイク特異的CD4およびCD8 T細胞を分析した。
スパイク特異的IgG抗体価の中央値は、 同側と対側で差はなかった。
p=0.106
IgG-avidityにおいても差はなかった (p=0.056)。
中和活性は対側で有意に低かった (p=0.024)。
スパイク特異的CD8 T細胞レベルの中央値も対側で有意に低く (p=0.004)、 CD8 T細胞が検出可能な人の割合は、 同側ワクチン接種後よりも対側ワクチン接種後の方が有意に低かった (43.0% vs 67.2%、 p=0.004)。
スパイク特異的CD4 T細胞レベルは両群で同程度であったが、 CTLA-4発現は対側ワクチン接種後に有意に高い発現を示した (p=0.011)。
これらの効果はワクチン特異的であり、 ポリクローナルに刺激されたT細胞レベルには差がなかった。
同側でも対側でも強力な免疫応答が誘導されるが、 2回目の接種において初回と同じリンパ節による排出を可能にするワクチン投与経路を選択することで二次的なブースティングがより顕著になることが示された。 より高い中和活性とより高いスパイク特異的CD8 T細胞レベルは、 感染や重症化からの防御に関係すると考えられ、 ワクチン接種においては一般的に行われていると想定される同側接種が支持される。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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