【急性GVHD】診断基準と重症度分類 (臓器障害Stage分類)
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HOKUTO編集部

1年前

【急性GVHD】診断基準と重症度分類 (臓器障害Stage分類)

急性GVHDとは?

GVHDとは、 graft-versus-host disease の略で、 日本語では移植片対宿主病と呼ばれる。 急性GVHDとは、 同種造血幹細胞移植後早期にみられる皮疹・黄疸・下痢を特徴とする症候群で、 移植片の宿主に対する免疫学的反応によるものと定義される¹⁾。

急性GVHDの診断基準

皮膚・肝・消化管の少なくとも一臓器の障害 (下記のstage 1以上) が存在し、 かつ GVHD類似の他の疾患が否定されること。

・ 古典的急性GVHD:移植後100日以内に発症

・ 遅発性急性GVHD:移植後100日以降に発症

GVHDの診断は臨床診断だが、 病理学的診断も、 特に病変が一臓器のみの場合や他疾患との鑑別困難の場合など重要となる¹⁾。

急性GVHDの重症度分類

従来のGlucksbergによる分類法²⁾を、 1994年の急性GVHDのgradingに関するコンセンサス会議において改定したものが利用される³⁾。 
【急性GVHD】診断基準と重症度分類 (臓器障害Stage分類)

皮膚stageについて

1:皮疹<25%

2:皮疹 25~50%

3:皮疹>50%

4:全身性紅皮症、 水泡形成

肝stageについて

0:T-bil <2.0mg/dL

1:T-bil 2.0~3.0mg/dL

2:T-bil 3.1~6.0mg/dL

3:T-bil 6.1~15.0mg/dL

4:T-bil >15.0mg/dL

消化管stageについて

<成人の場合>

0:下痢 <500ml

1:下痢 500~1000ml or 持続する嘔気

2:下痢 1001~1500ml

3:下痢 >1500ml

4:高度の腹痛 (腸閉塞の有無は問わない)

<小児の場合>

0:下痢 <280ml/m² (<10ml/kg)

1:下痢 280~555ml/m² (10~19.9ml/kg)

   または持続する嘔気

2:下痢 556~833ml/m² (20~30ml/kg)

3:下痢 >833ml/m² (>30ml/kg)

4:高度の腹痛 (腸閉塞の有無は問わない)

使用上の注意点¹⁾

臓器障害のstage

  • ビリルビン上昇、 下痢、 皮疹をひきおこす他の疾患が合併すると考えられる場合はstageを1つ落とし、 疾患名を明記する。
  • また、複数の合併症が存在したり、 急性GVHDの関与が低いと考えられる場合は主治医判断でstageを2-3落としても良い。
  • 皮疹面積の算定には、 火傷における 「9の法則 (成人)」、 「5の法則 (乳幼児)」 を適応。
【急性GVHD】診断基準と重症度分類 (臓器障害Stage分類)
  • 下痢量は、 3日間の平均量で算定. 小児の場合はml/m²とする。
  • 消化管GVHD stage1の持続する嘔気には、 胃・十二指腸の組織学的証明が必要。
  • 消化管GVHD stage4は、 3日間平均下痢量 成人>1500ml、 小児>833ml/m²でかつ、 腹痛または出血を伴う場合を指し、 腸閉塞の有無は問わない。

急性GVHDのgrade

【急性GVHD】診断基準と重症度分類 (臓器障害Stage分類)
  • GVHD以外の病変が合併し、 そのために全身状態が悪化する場合、 判定は容易ではないが、 急性GVHD関連病変によるPSを対象とする。
  • “or (および、または)”は、 各臓器障害のstageのうち、 一つでも満たしていればそのgradeとするという意味である。
  • “-”は障害の程度が何であれgradeには関与しない。

関連コンテンツ

  1. 日本造血細胞移植学会. 「造血細胞移植ガイドライン GVHD第5版」 2023年
  2. Clinical manifestations of graft-versus-host disease in human recipients of marrow from HL-A-matched sibling donors. Transplantation 1974 Oct;18(4):295-304. PMID: 4153799
  3. NIH Consensus development project on criteria for clinical trials in chronic graft-versus-host disease: II. The 2014 Pathology Working Group Report. Biol Blood Marrow Transplant. 2015 Apr;21(4):589-603. PMID: 25639770

最終更新:2023年8月10日
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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