海外ジャーナルクラブ
2ヶ月前
Loombaらは、 代謝障害関連脂肪肝炎 (MASH) と診断され、 肝線維化が中等度または高度の患者を対象に、 GIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチドの有効性および安全性を第Ⅱ相多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化試験で検討した。 その結果、 肝線維化の進行を伴わないMASHの消失において、 チルゼパチドにより有意な改善が認められた。 本研究は、 NEJM誌にて掲載された。
介入群3群+コントロールの合計4群で190例の参加者であり、 比較的N数が少ないことがlimitationとして挙げられます。
GLP-1受容体関連全般は実臨床に大きく貢献しており、 ノーベル賞も期待されます。
Child-Pugh / NFS / FIB-4 index
MASHは肝関連合併症および死亡と関連する進行性肝疾患である。 MASHを有し、 肝線維化が中等度または高度の患者における、 チルゼパチドの有効性と安全性は明らかではない。
生検でMASHの診断が確定し、 肝線維化ステージが中等度 (F2) または高度 (F3) の患者 : 190例
患者は以下の群に無作為に割り付けられた。 チルゼパチド群は、 定められた用量のチルゼパチドを週1回、 52週間投与された。
- チルゼパチド5mg群
- チルゼパチド10mg群
- チルゼパチド15mg群
- プラセボ群
主要評価項目は52週時点での肝線維化の進行を伴わないMASHの消失、 副次評価項目はMASHの増悪を伴わない肝線維化ステージの1以上の改善とした。
チルゼパチドは5mg、 10mg、 15mgのいずれの用量群においても、 プラセボ群に比して有意な(いずれもp<0.001)改善を認めた。
- プラセボ群 : 10%
- チルゼパチド5mg群 : 44% (95%CI 17-50)
- チルゼパチド10mg群 : 56% (同29-62)
- チルゼパチド15mg群 : 62% (同37-69)
肝線維化ステージの1以上の改善を認めた割合は、 チルゼパチドのいずれの用量群においても、 プラセボ群に比べて高かった。
- プラセボ群 : 30%
- チルゼパチド5mg群 : 55% (95%CI 5-46)
- チルゼパチド10mg群 : 51% (同1-42)
- チルゼパチド15mg群 : 51% (同1-42)
チルゼパチド群で特に頻度の高かった有害事象は消化器系の事象であった。 大部分が軽度または中等度であった。
Loombaらは、 「MASHを有し、 肝線維化が中等度または高度の患者に対するチルゼパチドの52週間投与は、 肝線維化の進行を伴わないMASHの消失に関してプラセボよりも有効であった。 MASHの治療におけるチルゼパチドの有効性と安全性をさらに評価するためには、 より大規模かつ長期の試験が必要である」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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