【UC】抗TNFα不応後、 2次治療はVDZかUSTかJAKiか?
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北里研究所病院IBDセンター

1ヶ月前

【UC】抗TNFα不応後、 2次治療はVDZかUSTかJAKiか?

【UC】抗TNFα不応後、 2次治療はVDZかUSTかJAKiか?
北里大学北里研究所病院 (北研) IBDセンターの抄読会で実際に交わされた治療判断の視点や議論のエッセンスを凝縮してお届けします。 

第3回は、 抗TNFα製剤不応後の潰瘍性大腸炎 (UC) 患者に対するベドリズマブ (VDZ)、 ウステキヌマブ (UST)、 JAK阻害薬の有効性および安全性を比較したPODIUM試験を取り上げます。

今回の紹介論文

Ustekinumab and Janus Kinase Inhibitors Outperform Vedolizumab as Second-line Therapy in Anti-tumor Necrosis Factor-experienced Patients With Ulcerative Colitis

Clin Gastroenterol Hepatol. 2026 Jan 29

背景

異なる炎症経路を標的とする先進治療(Advanced therapy)の登場により、 抗TNFα製剤不応後のUCにおける治療選択は大きな課題となっている。

目的

抗TNFα製剤治療歴のあるUC患者の2次治療において、 VDZおよびUST、 JAK阻害薬の有効性と安全性を実臨床データに基づき比較した。

方法

欧州17施設による、 多機関共同後ろ向きコホート研究である。

対象

少なくとも1種類以上の抗TNFα製剤治療後に、 2次治療としてVDZ、 UST、 JAK阻害薬を開始した成人UC患者596例 (VDZ 301例、 UST 149例、 JAK阻害薬*146例)。

*トファシチニブ114例、ウパダシチニブ28例、フィルゴチニブ5例

統計手法

背景因子の交絡はエネルギーバランシング重み付け (EBW) 法により補正した。

評価項目

主要評価項目は12ヵ月以内のステロイドフリー臨床寛解 (SFCR) *の達成とし、 調整ハザード比 (aHR) を算出した。 また、 有害事象はポアソン回帰モデルにより比較した。

*過去3ヵ月間にステロイド療法を受けておらず、 排便スコア≦1かつ血便スコア=0と定義

結果

患者背景

596例のうち男性は54.7%を占め、 平均年齢は43.9±15.5歳であった。

臨床活動性(排便スコア/血便スコア)、 内視鏡スコア(MES)、 バイオマーカー(CRP/FC)はいずれも治療群間で同等であった。 既往の抗TNFα製剤としてはインフリキシマブが最多 (74.8%) であり、 中止理由としては2次無効が最も多かった (47.3%)。

SFCR達成確率

USTとJAK阻害薬は、 VDZと比較して有意に高かった。 一方で、 USTとJAK阻害薬の間に有意差は認められなかった。

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有害事象

JAK阻害薬の有害事象の発現率は、 VDZおよびUSTと比較して約4倍高かった。 USTとVDZの間には差は認められなかった。

結論

抗TNFα治療不応後のUC患者において、 USTおよびJAK阻害薬はVDZよりも高い有効性を示した。 JAK阻害薬は安全性の観点から、 慎重な患者選択が必要である。

発表者のコメント

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ガイドラインを支持する臨床エビデンス

過去のネットワークメタ解析の結果を含めて作成された、 2024年の米国消化器病学会 (AGA) ガイドライン¹⁾では、 過去に1剤以上の先進治療 (特に抗TNFα製剤) が無効となった中等症~重症UC患者に対し、 JAK阻害薬やUSTはVDZより有用性が高いことが示されています。

本研究は後ろ向き研究ではあるものの、 3剤を比較検討した報告だったため、 紹介いたしました。

SDMの重要な判断材料に

結論は既報の通りで、 治療方針が大きく変わることはないですが、 患者さんとの共同意思決定 (SDM) の際により確実に伝えられると考えています。

抄読会のディスカッション

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有害事象と薬剤選択

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中止症例の詳細は不明ですが、 1次無効が最も多い中止理由とされています。 仮に全例がウパダシチニブであれば、 結果が異なっていた可能性はあると考えます。

また、 JAK阻害薬の薬剤別解析は行われていません。

薬剤の投与量・投与間隔

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「標準的な導入療法を受けた」 とされていますが、 維持療法の具体的な用量や投与間隔、 およびJAK阻害薬の用量設定についての記載はありませんでした。

背景因子の補正と層別解析

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年齢や性別、 疾患期間・病型、 併存疾患、 経口ステロイドの使用、 血便・排便スコア、 および過去の抗TNFα製剤の中止理由は、 EBW法によりいずれも補正されています。

ただし、 それぞれの項目による独立した層別解析までは行われていません。

長期的な寛解維持

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本研究の追跡期間は12ヵ月後までであり、 それ以降の長期的な経過については評価されていません。

<出典>

1) Gastroenterology. 2024; 167: 1307-1343.


北里大学北里研究所病院 炎症性腸疾患先進治療センター (IBDセンター)

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潰瘍性大腸炎・クローン病を中心とした炎症性腸疾患に対し、 消化器内科を軸に多職種が連携し、 先進的な診療と研究を推進する拠点である。 専門医が高度な治療選択を提供し、 IBD診療の質向上を目指して活動している。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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