【Lancet】早期乳癌への線量漸増SIB、治療短縮や再発予防に効果
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海外ジャーナルクラブ

1年前

【Lancet】早期乳癌への線量漸増SIB、治療短縮や再発予防に効果

【Lancet】早期乳癌への線量漸増SIB、治療短縮や再発予防に効果
Colesらは、 乳房温存手術後の早期乳癌の患者を対象に、 線量漸増同時統合ブースト放射線療法(SIB)による治療期間の短縮と毒性軽減の効果を第Ⅲ相非盲検非劣性無作為化試験IMPORT HIGHで検討。 その結果、 線量漸増SIBは、 すべての試験群において5年IBTR発生率を当初予想の5%以下に抑え、 患者の来院回数を減少させた。 本研究はLancetにおいて発表された。

📘原著論文

Dose-escalated simultaneous integrated boost radiotherapy in early breast cancer (IMPORT HIGH): a multicentre, phase 3, non-inferiority, open-label, randomised controlled trial. Lancet. 2023 Jun 24;401(10394):2124-2137. PMID: 37302395

👨‍⚕️監修医師のコメント

Double blind (患者、 医師ともに) ではなく、 Open試験となっている点は大きなlimitatonです。

🔢関連コンテンツ

乳癌のTNM臨床病期分類

乳腺腫瘍のTNM分類 (UICC-8版)

背景

全乳房放射線療法後に腫瘍床ブーストを実施すると、 局所がん制御率は上昇するが、 患者の来院回数が増加し、 乳房硬度が上昇する可能性がある。

研究デザイン

対象

pT1-3pN0-3aM0浸潤癌で乳房温存手術を受け、 再発リスクの高い女性患者

介入

患者を以下の群に1:1:1の割合で無作為に割り付けた。

  • 対照群:871例
全乳房に40Gy で15分割の照射+腫瘍床への光子線を用いた16Gy8分割の逐次ブースト照射
  • 試験群1:874例
全乳房に36Gy 15分割の照射、 40Gy15分割の部分照射、 腫瘍床への光子線を用いた48Gy15分割の同時ブースト照射
  • 試験群2:872例
全乳房に36Gy15分割の照射、 40Gy 15回の部分照射、 腫瘍床への光子線を用いた53Gy15回の同時ブースト照射

主要評価項目

intention to treat 集団におけるIBTR

対照群の5年発生率を5%と仮定し、 非劣性は試験群の絶対的過剰が3%以下 (両側95%信頼区間の上限) と事前に定義された。

研究結果

IBTRの発生

追跡期間中央値74ヵ月の時点で76件のIBTRが発生した。

  • 対照群:20件
  • 試験群1:21件
  • 試験群2:35件

5年間のIBTR発生率

  • 対照群:1.9% (95%CI 1.2-3.1%)
  • 試験群1:2.0% (95%CI 1.2-3.2%)
  • 試験群2:3.2% (95%CI 2.2-4.7%)

対照群に対するIBTRの推定絶対差

  • 試験群1:0.1% (95%CI -0.8-1.7%)
  • 試験群2:1.4% (95%CI 0.03-3.8%) 

乳房硬結の5年間の累積発生率

  • 対照群:11.5%
  • 試験群1:10.6% (対照群との比較のP=0.40)
  • 試験群2:15.5% (対照群との比較のP=0.015)

結果の解釈

IMPORT HIGH試験における線量漸増SIBは、 5年IBTR発生率を当初予想の5%以下に抑えつつ、 治療の安全性を確保しつつ、 患者の来院回数を減少させた。 これは、 早期乳癌の放射線療法の新たな可能性を示す結果である。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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