海外ジャーナルクラブ
9ヶ月前
Seaton氏らは、 気分障害に対する介入が炎症性腸疾患 (IBD) 関連炎症マーカーに及ぼす影響について、 無作為化比較試験の系統的レビューとメタアナリシスにより調査した。 その結果、 気分障害の改善はIBD関連炎症マーカーにも改善をもたらすことが明らかにされた。 本研究はEBioMedicineにおいて発表された。
気分改善介入でCRP値も改善するということでそのメカニズムが注目されます。 本文中には直接、 間接作用ともに可能性としてメカニズムが紹介されています。 Future resarchに注目です。
精神・神経免疫学的機序と脳腸相関は、 IBDの疾患活動性および進行に関連するとされている。 抑うつや不安、 ストレスなどの気分障害を標的とした介入が、 IBDの炎症レベルにどのような影響を及ぼすかを明らかにする必要がある。
成人のIBD患者
MEDLINE、 EMBASE、 PsycINFO、 Global Health、 Web of Scienceに2023年10月までに登録されていた研究のうち、 気分 (抑うつ、 不安、 ストレス、 苦悩、 情動的健康状態不良) を標的とする介入を行いその効果を報告するとともに、 介入前後の炎症マーカーの転帰を評価していた無作為化比較試験を選定した。 介入前後で独立評価者が研究のスクリーニングおよびデータ抽出を行い、 方法論の質を評価した。
介入種類は以下の3群に分類した。
炎症マーカー値の変化、 気分障害アウトカムの変化
1,789例のIBD患者を含む28件の無作為化比較試験が組入基準を満たした。
炎症マーカー値の変化
気分障害に対する介入は、 炎症マーカー値に対し、 小さいが統計学的に有意な影響を及ぼしていた。
標準化平均差(SMD) -0.35 (95%CI -0.48~-0.22)、 p<0.001
気分障害アウトカムの変化
気分アウトカムに対しては、 中程度の効果を示した。
SMD -0.50 (95%CI -0.73~-0.27)、 p<0.001
個々のバイオマーカーにおいては、 便中カルプロテクチンおよびC反応性蛋白(CRP)の改善に対する小さな効果が示された。
便中カルプロテクチン
SMD -0.19 (95%CI -0.34~-0.03)、 p=0.018
CRP
SMD -0.29 (95%CI -0.47~-0.10)、 p=0.002
これらの効果は、 心理療法群、 および気分に対する効果 (SMD≧0.2) がある場合に大きかった。
IBD患者の気分障害に対する介入は、 気分の改善だけでなく、 炎症マーカーにも有益な効果をもたらすことが示された。 特に心理療法は炎症マーカーに対する効果が大きかった。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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