【ハイライト】第31回日本乳癌学会-注目トピックまとめ-
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HOKUTO編集部

1年前

【ハイライト】第31回日本乳癌学会-注目トピックまとめ-

【ハイライト】第31回日本乳癌学会-注目トピックまとめ-
2023年6月29日〜7月1日に第31回日本乳癌学会学術総会が開催されました。今学術総会では、乳癌領域において日本で初めて行われた外科手技の前向き比較試験JCOG1017の結果や、脳転移を有するHER2陽性転移性乳癌に対するT-DXdの治療効果を検討したROSET-BM試験の結果など、注目度の高い話題が発表されました。HOKUTOにおいて掲載された関連コンテンツをまとめました。

HOKUTO編集部まとめ記事

T-DXdは脳転移やLMCを有する乳癌にも有効:ROSET-BM試験

本研究結果から、 T-DXdはBMおよび/またはLMCを有するHER2陽性転移性乳癌患者に対して治療効果を有することが示唆された。 本研究はレトロスペクティブ研究であり、 今後さらなる前向き研究が期待される。

PFS/OS

  • PFS中央値: 16.1カ月 [95%CI 12.0-未到達(NR)]
  • OS中央値: NR (95%CI 16.1-NR)
  • 12カ月時OS率:74.9%(95%CI 64.5-82.6%)

BMの分類別に見たPFS/OS

PFS中央値:

  • 活動性BM:13.4カ月
  • 安定性BM:14.6カ月
  • LMC:NR

12カ月時OS率:

  • 活動性BM:70.4%
  • 安定性BM:78.8%
  • LMC:87.1%
野村寛徳氏のコメント
「今回の研究結果から、 T-DXdはHER2陽性の脳転移、 髄膜癌腫症の患者への強力な治療選択薬になることが示された。 また本研究の対象患者においては、 かつて抗HER2抗体トラスツズマブが登場した時のような驚愕すべき治療効果を示す症例がいることが確認されたことも意義ある結果となったと考えている。」

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【詳報】de novo Ⅳ期の乳癌に対する原発巣切除はOSを改善せず

原発巣切除は薬物療法に感受性を持つde novo Ⅳ期乳癌患者においてOSを有意に延長できなかった。 生存期間延長を目的とした原発巣切除はすべてのde novo Ⅳ期乳癌患者には推奨されないが、 転移臓器が限られた患者では治療選択肢になり得る。

【ハイライト】第31回日本乳癌学会-注目トピックまとめ-
枝園忠彦氏のコメント
本試験は乳癌領域において日本で初めて行われた外科手技の前向き比較試験である。今後日本からもこういった価値あるエビデンスが創出できることや、 世界でほぼ同時に同様の臨床的疑問を解決しようとする試験が行われており、 その中で日本の乳癌診療のレベルの高さも示すことができた。引き続きOLIGAMI試験を通して、 信頼性の高いエビデンスを日本から創出していきたい。

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乳癌治療に関するSDMをどう行うか? JCOG1017試験からの考察

JCOG1017試験の結果を受けて、 実臨床においては、 「患者とのShared decision making(SDM)をどう行うか?」という課題がある。 この重要な課題について、 第31回日本乳癌学会のアンコール企画でディスカッサントとして登壇したがん研究会有明病院乳腺センター乳腺外科副部長で、 同学会診療ガイドライン委員会・外科療法小委員会委員長の坂井威彦氏の考察の一部を紹介する。

原発巣切除のメリットがありそうな群とは?

1.局所コントロールが重要な状況にある群

症状の増悪で局所の処置が必要になりそうな患者群。 特に今回下記の結果が示されたが、 4年で潰瘍形成が1/4の症例で見られていたが、 原発切除で15%減少していた。 ただし、 適応については個々に検討が必要である。

2.転移巣と原発巣の腫瘍不均一性が認められる群

例として、 多発肺転移を認めるLuminal type、 5cmの原発巣の乳癌に対して、 CDK4/6阻害薬+アロマターゼ阻害薬(AI)併用療法により長期安定(Long SD)が得られている症例。 遠隔転移はコントールできているものの…

3.全身治療のDe-escalationができる群

例として、 転移巣に対してタキサン系薬剤+抗HER2薬の併用療法でLong SDとなった症例。 転移巣が消滅しそうなほど縮小したものの、 原発巣が消え切らずにまだ残存している場合には、 原発巣切除で完全切除となる可能性がある。
坂井氏の考察
Stage Ⅳ乳癌に対しては、 基本的には薬物療法が主体であり、 初期治療が効いたしても、 早期に原発巣切除を検討する必要はない。
薬物療法の効果を見ながら、 かつ原発巣切除によりメリットを得られる症例を見極めたうえで、 手術のタイミングを検討することが肝要となる。

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こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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