Abbar Mらは、 自殺念慮があり任意で入院中の18歳以上の患者156名を対象に、 ケタミンによる抗自殺効果を検討する二重盲検無作為化プラセボ対照試験を実施した. 自殺傾向のある患者の急性期治療においてケタミンが有効であることを報告した. 本研究はBMJ誌において発表された.
研究デザイン
- 対象は、自殺念慮があり、任意で入院している18歳以上の患者156名とした.
(統合失調症、 他の精神疾患既往、 薬剤依存、 ケタミン禁忌などは除外された)
- 以下の2群に無作為に割り付け、施設および診断名によって層別化された.
- ケタミン投与群(0.5mg/kg)
- ケタミン投与群(0.5mg/kg) 73名
- プラセボ群(生理食塩水) 83名
- いずれも通常治療に加え、 ベースラインと24時間後に40分間で2回静脈内投与した.
- 主要評価項目は、 3日目に自殺念慮が完全に寛解している患者の割合とした.
研究結果|有効性評価
自殺念慮の完全寛解 (3日目)
- ケタミン群 63.0%、 プラセボ群 31.6%が3日目に自殺念慮の完全寛解に至った.
- OR 3.7 (95%CI 1.9~7.3、 P<0.001)で統計学的な有意差がみられた.
診断名による効果の違い (3日目)
95%CI 3.0-92.2、P<0.001
95%CI 0.3-5.2、 P=0.6
95%CI 0.9-17.3、 P=0.07
自殺念慮の完全寛解 (6週目)
- ケタミン群はプラセボ群に対し有意差はないものの、 6週目も高い寛解が維持された
- 69.5% vs. 56.3%、 OR 0.8
95%CI 0.3-2.5、 P=0.7
研究結果|安全性評価
- 副作用は限定的であり、 躁病や精神病の症状はみられなかった.
原著論文