【J Clin Oncol】HER2陽性乳癌術後のT-DM1で5年iDFSを改善
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2ヶ月前

【J Clin Oncol】HER2陽性乳癌術後のT-DM1で5年iDFSを改善

【J Clin Oncol】HER2陽性乳癌術後のT-DM1で5年iDFSを改善
Tarantinoらは、 stage IのHER2陽性乳癌の患者を対象に、 抗体薬物複合体トラスツズマブ エムタンシン (T-DM1) による術後療法とパクリタキセル+トラスツズマブの有効性を第II相試験ATEMPTで比較検討した。 その結果、 T-DM1による術後療法は5年浸潤性無病生存期間 (iDFS) を改善することが明らかとなった。 本研究は、 J Clin Oncol誌にて発表された。 

📘原著論文

Adjuvant Trastuzumab Emtansine Versus Paclitaxel Plus Trastuzumab for Stage I Human Epidermal Growth Factor Receptor 2-Positive Breast Cancer: 5-Year Results and Correlative Analyses From ATEMPT. J Clin Oncol. 2024 Jun 27:JCO2302170. PMID: 38935923

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

アンメットニーズを明確にしてそれをシンプルに検討した研究です。 3:1の割り付けで、 絶対的な有効性への確信が研究デザインからもみて取れます。

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T-DM1術後療法後の長期転帰は不明

T-DM1による術後療法を受けたstage IのHER2陽性乳癌患者の長期転帰については不明な点が多い。

第II相試験ATEMPTで比較検討

対象・介入

HER2陽性が確認されたstage Iの乳癌患者512例を対象とした。  

患者は以下の群に、 3 : 1の割合で無作為に割り付けられた。

- T-DM1群 : 384例

- パクリタキセル+トラスツズマブ群 : 128例

評価項目

以下のように設定された。

- 主要評価項目 : 浸潤性無病生存期間 (iDFS)

- 副次評価項目 : 無再発間隔 (RFI)、 全生存率 (OS)、 乳癌特異的生存率*¹、 HER2DXリスクスコア*²との相関解析

*¹乳癌によって死亡せずに生存している割合を示す指標。 乳癌以外の死因を除外して算出される。
*²HER2陽性乳癌の患者に対する遺伝子プロファイリングツール。 再発リスクや治療の反応を予測するために使用される。

T-DM1群は良好な5年iDFSを示す

iDFS

各群の5年iDFSは以下の通りであり、 T-DM1群は非常に高い5年iDFSを示した。

- T-DM1群 : 97.0% (95%CI 95.2-98.7)

- パクリタキセル+トラスツズマブ群 : 91.1%

また、 T-DM1群では腫瘍の大きさ、 ホルモン受容体の状態、 HER2免疫組織化学的スコア、 T-DM1の投与期間が6ヵ月以上であるかどうかに関係なく、 同等のiDFSが確認された。

RFI、 OS、 乳癌特異的生存率

T-DM1群の5年時点のRFI、  OS、 乳癌特異的生存率は以下のとおりであった。

- RFI : 98.3% (95%CI 97.0-99.7%)

- OS : 97.8% (95%CI 96.3-99.3%)

- 乳癌特異的生存率 : 99.4% (95%CI 98.6-100%)

HER2DXリスクスコアとの相関解析

HER2DXリスクスコアに応じて5年の結果に有意な差があり、 HER2DX低リスクの患者においてより良好なRFIおよびiDFSが観察された。

RFI : 98.1% vs 81.8%、 HR 0.10、 p=0.01
iDFS : 96.3% vs 81.8%、 HR 0.20、 p=0.047

HER2DXリスクスコアの再発リスク予測に対する有用性も示唆

著者らは 「T-DMによる1年間の術後療法は、 stage IのHER2陽性乳癌患者にとって優れた長期成績をもたらすことが確認された。 また、 HER2DXリスクスコアが再発リスクの予測に有用であり、 HER2DXリスクスコアが高い患者においては再発リスクが高くなることが示された」 と報告している。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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