★医師コメント追加★ 内分泌療法後のSGでPFS改善せず: ASCENT-07
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HOKUTO編集部

2ヶ月前

★医師コメント追加★ 内分泌療法後のSGでPFS改善せず: ASCENT-07

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内分泌療法 (ET) 後で初回化学療法の適応となるホルモン受容体陽性HER2陰性 (HR+/HER2-) の切除不能局所進行または転移性乳癌を対象に、 抗TROP2抗体薬物複合体サシツズマブ ゴビテカン (SG) の有効性および安全性を、 担当医師選択の化学療法 (TPC) と比較評価した国際多施設共同第Ⅲ相非盲検無作為化比較試験ASCENT-07の結果から、 PFSの有意な改善は認められなかった。 米・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのKomal Jhaveri氏が発表した。

背景

化学療法歴ありへのSGでPFS・OS改善

ET抵抗性のHR+/HER2-転移性乳癌患者は、 治療選択肢が限られており、 予後不良である。 2ライン以上の化学療法歴があり、 ET抵抗性のHR+/HER2-転移性乳癌患者を対象とした第Ⅲ相TROPiCS-02試験では、 SGが化学療法と比べて無増悪生存期間 (PFS) および全生存期間 (OS) を有意に改善した¹⁾。

今回は、 ET後で初回化学療法の適応となるHR+/HER2-の切除不能局所進行または転移性乳癌患者を対象とした第Ⅲ相ASCENT-07試験の主解析結果が報告された。

試験の概要

対象はET後で初回化学療法の適応となるHR+/HER2-進行乳癌

対象は、 切除不能で化学療法歴のない局所進行または転移性乳癌で、 以下のうち少なくとも1つを満たす患者であった。

  • 分子標的薬の有無によらず2ライン以上のET後に病勢進行 (PD)
  • 1次治療としてET±CDK4/6阻害薬開始後、 6ヵ月未満でPD
  • 補助療法としてのET+CDK4/6阻害薬開始後24ヵ月未満に再発し、 さらなるETの適応がない

SG vs TPCを比較、 主要評価はPFS

690例が以下の2群に2 : 1で無作為に割り付けられた。

  • SG群 : 456例
21日を1サイクルとして各サイクルの1、 8日目にSG10mg/kgを静脈内投与
  • TPC群 : 234例
TPC (43%がカペシタビン、 39%がnab-パクリタキセル、 18%がパクリタキセル)

主要評価項目はRECIST v1.1に基づく盲検下独立中央判定 (BICR) によるPFS、 重要な副次評価項目はOS、 BICRによる客観的奏効率 (ORR)、 QOLであった。 その他の副次評価項目は、 担当医師評価によるPFSおよびORR、 BICRおよび担当医師評価による奏効期間 (DOR)、 安全性であった。

試験の結果

患者背景は概ね一致

年齢中央値 (範囲) はSG群が57歳 (29-88歳)、 TPC群が58歳 (27-80歳)、 HER2低発現がそれぞれ58%、 57%、 de novoが24%、 21%、 内臓転移が89%、 88%、 前治療ライン数の中央値 (範囲) が2 (0-8)、 2 (0-4)、 転移性病変に対するCDK4/6阻害薬の投与歴12ヵ月以内が43%、 42%、 12ヵ月超が50%、 50%であった。

BICRによるmPFSで有意差を認めず

追跡期間中央値15.4ヵ月において、 BICRによるPFS中央値はSG群が8.3ヵ月 (95%CI 8.1-10.3ヵ月)、 TPC群が8.3ヵ月 (同6.9-10.0ヵ月) であり、 両群間で有意差が認められなかった (ハザード比 0.85 [95%CI 0.69-1.05]、 p=0.130)。

PFSのサブグループ解析において、 各サブグループのPFS中央値は全体集団の結果と概ね一致していた。

担当医評価によるmPFS数値的に改善

担当医師評価によるPFS中央値はSG群が8.4ヵ月 (95%CI 8.2-9.7ヵ月) であり、 TPC群の6.4ヵ月 (同6.0-8.1ヵ月) と比べて数値的な改善が認められた (ハザード比 0.78 [95%CI 0.64-0.93]、 名目上のp=0.008)。

mOSはimmatureながら改善傾向

主解析の時点でOSはimmatureであった (maturity : 27% )。 OS中央値はSG群がNR (95%CI NR-NR)、 TPC群がNR (同 19.7ヵ月-NR) であり、 早期に改善傾向が認められた (ハザード比 0.72 [95%CI 0.54-0.97]、 名目上のp=0.029)。

TPC群の61%が治療中止後にADC投与

後治療で抗体薬物複合体 (ADC) を少なくとも1回以上投与された患者は、 SG群が32%、 TPC群が61%であり、 TPC群でおよそ2倍であった。

ORRは両群同程度、 DORはSG群で延長

BICRによるORRは、 SG群が37% (95%CI 32-42%)、 TPC群が33% (同 27-39%) と同程度であった (OR 1.20 [95%CI 0.86-1.69])。

BICRによるDOR中央値は、 SG群が12.1ヵ月 (95%CI 8.5-13.8ヵ月) であり、 TPC群の9.3ヵ月 (同6.5-14.3ヵ月) と比べて延長した。

安全性プロファイルは管理可能

SG群の安全性プロファイルは既報と一致し、 新たな安全性シグナルは検出されなかった。 Grade≥3の治療中に発現した主な有害事象 (TEAE) は好中球減少症 (SG群 56%、 TPC群 21%)、 白血球減少症 (14%、 7%)、 貧血 (10%、 5%) などであった。 TEAEによる減量はSG群が39%、 TPC群が38%、 治療中止はそれぞれ3%、 7%、 死亡は双方2%であった。

結論

主要評価項目を達成せず、 OSは今後のさらなる解析結果が待たれる

Jhaveri氏は 「本試験の主解析結果において、 主要評価項目を達成しなかった一方で、 新たな安全性シグナルは検出されなかった。 OSではSGで早期に改善傾向が認められており、 今後も試験を継続し、 さらにOSを評価する予定である」 と報告した。

26年1月追記 : 尾崎氏による解説

本発表に関して、 がん研有明病院乳腺センター医長の尾崎由記範先生にご解説いただきました。
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今後、 SGは標準1次治療になり得ず

第Ⅲ相ASCENT-07試験では、 HR+/HER2-転移性乳癌に対する1次化学療法のセッティングで、 担当医選択の化学療法に対するSGの優越性は示されなかった。 OSはimmatureではあるものの、 PFSの差が示されなかったことから、 標準治療にはなり得ないと考える。

化学療法既治療例への位置付けは不動もHR+/HER2-例への国内適応は未確立

化学療法既治療例に対するSGの有効性がHR+/HER2-転移性乳癌を対象にした第Ⅲ相TROPiCS-02試験で示されていることから、 SGは化学療法既治療例での標準治療という位置付けは変わらない。 ただし日本において、 HR+/HER2-例に対する適応は、 現時点ではまだない。

出典

¹⁾ Lancet. 2023 Oct 21;402(10411):1423-1433.

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TROPiCS-02試験 最終解析

Lancet. 2023 Oct 21;402(10411):1423-1433.

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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