HOKUTO編集部
6ヶ月前
EGFR遺伝子変異を有する切除不能Ⅲ期非小細胞肺癌患者において、 CRT後のオシメルチニブ投与の有効性について、 プラセボを対照に検証した第Ⅲ相二重盲検無作為化比較試験LAURAの結果より、 PFSの有意かつ大幅な延長が示された。 米・Emory UniversityのSuresh S. Ramalingam氏が発表した。 同試験の詳細は、 N Engl J Med (2024年6月2日オンライン版) に同時掲載された¹⁾。
NSCLC患者の約20~30%は診断時に局所進行性のIII期を呈しており、 そのうち60~90%は切除不能な病変を有している。上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異は切除不能なIII期NSCLC 患者の最大3分の1で報告されているが、 同患者に対する分子標的治療は承認されていない。
根治的化学放射線療法(CRT)後に進行が認められない症例に対する標準治療は、 抗PD-L1抗体デュルバルマブによる地固め療法であるが、 PACIFIC試験²⁾の事後解析において、 切除不能なIII期EGFR陽性NSCLC患者に対するデュルバルマブによる地固め療法の有効性は明確ではなかった。
第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬オシメルチニブは、 EGFRm 進行/転移性NSCLCおよび切除可能なIIB~IIIA期のEGFR陽性NSCLCの術後療法としても推奨されている。 本試験では、 CRT後の地固め療法としてのオシメルチニブの有効性および安全性が検証された。
白金製剤ベースの根治的CRT後に病勢進行を認めない、 局所進行/切除不能のIII期EGFR陽性NSCLC患者
以下2群に2 : 1の割合で無作為で割り付けた。
主要評価項目
盲検独立中央判定(BICR)評価によるRECISTv1.1に基づくPFS
副次的評価項目
全生存期間(OS)、 BICR評価による中枢性 (CNS) 疾患の進行のない生存期間(CNS PFS)、 奏効率(ORR)、 奏効期間(DOR)、 健康関連QOL、 安全性
治療期間*の中央値
追跡期間中央値
病勢進行または死亡イベント数
PFS中央値(95%CI)
HR 0.16 (95%CI 0.10-0.24)、 p<0.001
PFS率(12ヵ月時、 24ヵ月時)
サブグループ解析
解析に十分なイベントのある全てのサブグループにおいて、 オシメルチニブ群のプラセボ群に対するPFS延長の優位性が一貫して認められた。
局所進行の発生率
遠隔転移の発生率
新規病変*の発生率
36ヵ月時OS率
HR 0.81 (95%CI 0.42-1.56)、 p=0.53
プラセボ群では、 BICR評価で増悪が認められた患者の81%がオシメルチニブ群にクロスオーバーしていた。
ORR(95%CI)
オッズ比 2.77 (1.54-5.08)
DOR中央値(95%CI)
有害事象 (AE)
原因に関わらず最も多かったAEは、 放射線肺炎 (オシメルチニブ群48%、 プラセボ群38%)、 下痢(同36%、 14%)、 発疹 (同24%、 14%) であった。
Grade3以上の治療関連AE発現率
投与中断に至ったAE発現率
投与薬減量に至ったAE発現率
投与中止に至ったAE発現率
Ramalingam氏は 「根治的化学放射線療法後に病勢進行のない、 局所進行/切除不能なIII期のEGFR陽性NSCLC患者において、 オシメルチニブによる地固め療法はプラセボと比較し、 PFSを有意に延長させることが示された。 この結果からオシメルチニブは、 同患者の新しい標準治療となるであろう」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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