【JCOG1314】進行食道癌へのbDCF療法、 PFSを改善もOSは延長せず
著者

HOKUTO編集部

3ヶ月前

【JCOG1314】進行食道癌へのbDCF療法、 PFSを改善もOSは延長せず

【JCOG1314】進行食道癌へのbDCF療法、 PFSを改善もOSは延長せず
転移・再発食道癌を対象に、 シスプラチン+5-FU+隔週ドセタキセル投与 (bDCF) 療法のシスプラチン+5-FU (CF) 療法に対する優越性を検証した第III相無作為化比較試験JCOG1314(MIRACLE)の結果、 bDCF療法によるPFSの有意な延長が認められたものの、 OSの延長は認められなかった。 米国臨床腫瘍学会消化器癌シンポジウム (ASCO GI)  2024で発表された同試験の結果について、 静岡がんセンター消化器内科医長の對馬隆浩氏が、 第78回日本食道学会において発表した。 

標準化学療法に対する優越性試験

免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) 登場以前、 転移・再発食道癌に対する標準治療はCF療法だった。 同疾患に対するbDCF療法の有効性および安全性を評価した第I/Ⅱ相JCOG0807試験では、 bDCF療法の有望な結果が示された。 JCOG1314試験では、 転移・再発食道癌に対する1次治療として、 CF療法に対するbDCF療法の優越性が検証された。

主要評価項目はOS

対象

20-75歳で原発巣が頸部、 胸部、 食道胃接合部のいずれかに存在し、 組織学的に扁平上皮癌または腺癌であることが証明された根治的治療適応外の転移 (cStage IV) または再発食道癌患者

その他、 cT1-T4a、 Dysphagia score≦2、 ECOG PS 0-1を適格基準とした

介入

患者は以下の2群に1 : 1の割合で無作為割り付けされた。

  • bDCF群
シスプラチン80mg/m²(1日目)+5-FU800mg/m²(1~5日目)+ドセタキセル30mg/m² (1日目、 15日目) を4週毎に投与
  • CF群
シスプラチン80mg/m²(1日目)+5-FU800mg/m²(1~5日目)を4週毎に投与
各群の治療は、 無効、 不耐、 患者拒否のいずれかが示されるまで継続が予定された。 CF療法のOS中央値は8ヵ月と設定し、 bDCF療法での3ヵ月改善を検出するために、 片側α値5%、 検出力75%とすると、 230例の患者登録が必要だった。 追跡不能例等を勘案し240例の登録を計画した。

主要評価項目

全生存期間 (OS)

副次評価項目

無増悪生存期間 (PFS)、 奏効率、 有害事象

OS中央値は16.2ヵ月、 HR0.90

追跡期間中央値

15.3ヵ月

患者背景

(bDCF群 : 121例、 CF群 : 119例)

両群で概ね一致していた。

  • 年齢中央値: 65歳、 64歳
  • 男性割合 : 88%、 89%
  • ECOG PS 0 : 69%、 75%
  • cStage Ⅳ : 63%、 67%
  • 転移臓器個数≧2 : 59%、 56%
  • 扁平上皮癌 : 94%、 97%
  • 前治療歴なし : 67%、 69%

治療状況

2023年4月12日のデータカットオフ時点で、 240例全例がプロトコル治療を中止した。 治療中止の理由は病勢進行 (bDCF群58%/CF群71%)、 有害事象 (35%/23%)、 その他 (7%/6%) だった。

主要評価項目

OS中央値

  • bDCF群 : 16.2ヵ月 
(95%CI 13.8-20.4ヵ月)
  • CF群 : 14.8ヵ月 
(95%CI 11.6-18.3ヵ月)
HR 0.90 (95%CI 0.68-1.19)、 p=0.23

サブグループ解析では、 事前に規定されたほぼ全てのサブグループにおいて、 bDCF群のCF群に対する優位性は認められなかった。

副次評価項目

PFS中央値

  • bDCF群 : 6.0ヵ月
(95%CI 5.4-7.5ヵ月)
  • CF群5.2ヵ月
(同 4.1-6.1ヵ月)
HR 0.68 (95%CI 0.52-0.88) 

サブグループ解析では、 事前に規定されたほぼ全てのサブグループにおいて、 bDCF群がCF群に対し優位な傾向にあった。

奏効 (完全奏効+部分奏効) 率

  • bDCF群 : 52.8%
(95%CI 42.0-63.3%)
  • CF群 : 45.6%
(同 35.0-56.4%)

有害事象発現率

Grade3/4の主な有害事象は、 好中球減少 (bDCF群38%/CF群27%)、 食欲不振 (25%/16%)、 疲労 (10%/15%)、 低ナトリウム血症 (13%/14%) だった。 治療関連死亡は認められなかった。

ICI非適用例への標準治療は依然CF療法

對馬氏は 「転移・再発食道癌に対するbDCF療法はPFSの延長に関連したものの、 主要目的であるOSについては、 CF療法に対する優越性を示せなかった。 ICIが適用できない場合、 転移・再発食道癌に対する標準1次治療は依然としてCF療法である」 と報告した。

関連コンテンツ

neoDCF

ドセタキセル+シスプラチン+フルオロウラシル
【JCOG1314】進行食道癌へのbDCF療法、 PFSを改善もOSは延長せず

neoCF

シスプラチン+フルオロウラシル
【JCOG1314】進行食道癌へのbDCF療法、 PFSを改善もOSは延長せず

ポストのGif画像
【JCOG1314】進行食道癌へのbDCF療法、 PFSを改善もOSは延長せずの全コンテンツはアプリからご利用いただけます。
臨床支援アプリHOKUTOをダウンロードしてご覧ください。
今すぐ無料ダウンロード!
こちらの記事の監修医師
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
QRコードから
アプリを
ダウンロード!
HOKUTOのロゴ
HOKUTOのロゴ
今すぐ無料ダウンロード!
様々な分野の医師
様々な分野の医師
【JCOG1314】進行食道癌へのbDCF療法、 PFSを改善もOSは延長せず