HOKUTO編集部
4ヶ月前
転移・再発食道癌を対象に、 シスプラチン+5-FU+隔週ドセタキセル投与 (bDCF) 療法のシスプラチン+5-FU (CF) 療法に対する優越性を検証した第III相無作為化比較試験JCOG1314(MIRACLE)の結果、 bDCF療法によるPFSの有意な延長が認められたものの、 OSの延長は認められなかった。 米国臨床腫瘍学会消化器癌シンポジウム (ASCO GI) 2024で発表された同試験の結果について、 静岡がんセンター消化器内科医長の對馬隆浩氏が、 第78回日本食道学会において発表した。
免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) 登場以前、 転移・再発食道癌に対する標準治療はCF療法だった。 同疾患に対するbDCF療法の有効性および安全性を評価した第I/Ⅱ相JCOG0807試験では、 bDCF療法の有望な結果が示された。 JCOG1314試験では、 転移・再発食道癌に対する1次治療として、 CF療法に対するbDCF療法の優越性が検証された。
20-75歳で原発巣が頸部、 胸部、 食道胃接合部のいずれかに存在し、 組織学的に扁平上皮癌または腺癌であることが証明された根治的治療適応外の転移 (cStage IV) または再発食道癌患者
患者は以下の2群に1 : 1の割合で無作為割り付けされた。
全生存期間 (OS)
無増悪生存期間 (PFS)、 奏効率、 有害事象
15.3ヵ月
両群で概ね一致していた。
2023年4月12日のデータカットオフ時点で、 240例全例がプロトコル治療を中止した。 治療中止の理由は病勢進行 (bDCF群58%/CF群71%)、 有害事象 (35%/23%)、 その他 (7%/6%) だった。
OS中央値
HR 0.90 (95%CI 0.68-1.19)、 p=0.23
サブグループ解析では、 事前に規定されたほぼ全てのサブグループにおいて、 bDCF群のCF群に対する優位性は認められなかった。
PFS中央値
HR 0.68 (95%CI 0.52-0.88)
サブグループ解析では、 事前に規定されたほぼ全てのサブグループにおいて、 bDCF群がCF群に対し優位な傾向にあった。
奏効 (完全奏効+部分奏効) 率
有害事象発現率
Grade3/4の主な有害事象は、 好中球減少 (bDCF群38%/CF群27%)、 食欲不振 (25%/16%)、 疲労 (10%/15%)、 低ナトリウム血症 (13%/14%) だった。 治療関連死亡は認められなかった。
對馬氏は 「転移・再発食道癌に対するbDCF療法はPFSの延長に関連したものの、 主要目的であるOSについては、 CF療法に対する優越性を示せなかった。 ICIが適用できない場合、 転移・再発食道癌に対する標準1次治療は依然としてCF療法である」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。