【NEJM】抗ネフリン自己抗体がネフローゼ症候群と関連?
著者

海外ジャーナルクラブ

3ヶ月前

【NEJM】抗ネフリン自己抗体がネフローゼ症候群と関連?

【NEJM】抗ネフリン自己抗体がネフローゼ症候群と関連?
Hengelらは、 ポドサイト障害の患者を対象に、 抗ネフリン自己抗体の役割を多施設共同研究で検討した。 その結果、 抗ネフリン自己抗体が微小変化型ネフローゼ症候群や特発性ネフローゼ症候群の疾患活動性マーカーであることが示唆された。 本研究はNEJM誌にて発表された。 

📘原著論文

Autoantibodies Targeting Nephrin in Podocytopathies. N Engl J Med. 2024 Aug 1;391(5):422-433. PMID: 38804512

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

今回の病態の解析により、 抗ネフリン自己抗体を標的とした治療法の開発が期待されます。


背景

抗ネフリン自己抗体の役割は未解明

ネフローゼ症候群を引き起こす免疫介在性のポドサイト障害*には、 小児の特発性ネフローゼ症候群に加えて、 成人の微小変化型ネフローゼ症候群、 原発性巣状分節性糸球体硬化症がある。

微小変化型ネフローゼ症候群患者でネフリンを標的とする自己抗体が発見されているが、 その臨床上の役割、 病態生理学的役割は不明である。

※ポドサイト障害とは (編集部追記)
ポトサイトとは、 糸球体の最外層に位置し、 足突起という指状の突起を持つ細胞で、 糸球体濾過膜の一部として重要な役割を担う。 ポドサイトの障害により、 足突起の構造が崩壊し、 濾過障壁が破壊される。 これにより、 血中のタンパク質が尿中に漏れ出し、 蛋白尿が生じる。 蛋白尿はCKDの進展に関与し、 最終的には腎代替療法が必要な末期腎不全に至ることがある。

研究デザイン

糸球体疾患成人患者と、 ネフローゼ症候群小児患者の抗ネフリン自己抗体を解析

以下の患者の抗ネフリン自己抗体の解析を目的とした、 多施設共同研究を実施した。

 - 成人糸球体疾患*         357例
 - 小児特発性ネフローゼ症候群  182例
 - コントロール群        117例
*MCNS、FSGS、MN、IgA腎症、ANCA関連腎炎、ループス腎炎

また、 遺伝子組換えマウスネフリンで能動免疫した実験マウスモデルも作製し検証した。

結果

抗ネフリン自己抗体の保有率は異なる

微小変化型ネフローゼ症候群または特発性ネフローゼ症候群の患者において、 抗ネフリン自己抗体の保有率が高かった。

- 成人微小変化型ネフローゼ症候群   44% 
- 成人原発性巣状分節性糸球体硬化症  9%
- 小児特発性ネフローゼ症候群       52%

保有率は疾患活動性と関連していた

疾患活動性の高い微小変化型ネフローゼ症候群または特発性ネフローゼ症候群のサブグループでは、 抗ネフリン自己抗体の保有率がそれぞれ69%、 90%と高かった。

また、 研究組入れ時と追跡期間中の抗ネフリン自己抗体レベルは、 疾患活動性と相関していた。

マウスモデルで病理的な変化を確認

マウスモデルでは、 実験的な免疫付加により、 ネフローゼ症候群、 微小変化型ネフローゼ症候群様の表現型、 ポドサイトスリット膜へのIgG局在、 ネフリンのリン酸化、 重度の細胞骨格変化が誘導された。

結論

抗ネフリン自己抗体の病態生理学的意義を示唆

著者らは、 「微小変化型ネフローゼ症候群または特発性ネフローゼ症候群の患者においては、 抗ネフリン自己抗体の保有率が高く、 疾患活動性のマーカーであると思われた。 また抗ネフリン自己抗体の病態生理学的意義が示された」 と報告している。

ポストのGif画像
【NEJM】抗ネフリン自己抗体がネフローゼ症候群と関連?の全コンテンツはアプリからご利用いただけます。
臨床支援アプリHOKUTOをダウンロードしてご覧ください。
今すぐ無料ダウンロード!
こちらの記事の監修医師
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
QRコードから
アプリを
ダウンロード!
HOKUTOのロゴ
HOKUTOのロゴ
今すぐ無料ダウンロード!
様々な分野の医師
様々な分野の医師
【NEJM】抗ネフリン自己抗体がネフローゼ症候群と関連?