海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前
Hengelらは、 ポドサイト障害の患者を対象に、 抗ネフリン自己抗体の役割を多施設共同研究で検討した。 その結果、 抗ネフリン自己抗体が微小変化型ネフローゼ症候群や特発性ネフローゼ症候群の疾患活動性マーカーであることが示唆された。 本研究はNEJM誌にて発表された。
今回の病態の解析により、 抗ネフリン自己抗体を標的とした治療法の開発が期待されます。
ネフローゼ症候群を引き起こす免疫介在性のポドサイト障害*には、 小児の特発性ネフローゼ症候群に加えて、 成人の微小変化型ネフローゼ症候群、 原発性巣状分節性糸球体硬化症がある。
微小変化型ネフローゼ症候群患者でネフリンを標的とする自己抗体が発見されているが、 その臨床上の役割、 病態生理学的役割は不明である。
以下の患者の抗ネフリン自己抗体の解析を目的とした、 多施設共同研究を実施した。
- 成人糸球体疾患* 357例
- 小児特発性ネフローゼ症候群 182例
- コントロール群 117例
また、 遺伝子組換えマウスネフリンで能動免疫した実験マウスモデルも作製し検証した。
微小変化型ネフローゼ症候群または特発性ネフローゼ症候群の患者において、 抗ネフリン自己抗体の保有率が高かった。
- 成人微小変化型ネフローゼ症候群 44%
- 成人原発性巣状分節性糸球体硬化症 9%
- 小児特発性ネフローゼ症候群 52%
疾患活動性の高い微小変化型ネフローゼ症候群または特発性ネフローゼ症候群のサブグループでは、 抗ネフリン自己抗体の保有率がそれぞれ69%、 90%と高かった。
また、 研究組入れ時と追跡期間中の抗ネフリン自己抗体レベルは、 疾患活動性と相関していた。
マウスモデルでは、 実験的な免疫付加により、 ネフローゼ症候群、 微小変化型ネフローゼ症候群様の表現型、 ポドサイトスリット膜へのIgG局在、 ネフリンのリン酸化、 重度の細胞骨格変化が誘導された。
著者らは、 「微小変化型ネフローゼ症候群または特発性ネフローゼ症候群の患者においては、 抗ネフリン自己抗体の保有率が高く、 疾患活動性のマーカーであると思われた。 また抗ネフリン自己抗体の病態生理学的意義が示された」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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