背景
- イサツキシマブは抗 CD38 モノクローナル抗体で、 再発・難治性多発性骨髄腫に対して、 ポマリドマイド+デキサメタゾンおよびカルフィルゾミブ+デキサメタゾンとの併用が承認されている.
- 再発・多発性骨髄腫患者302例を対象に、 イサツキシマブ+カルフィルゾミブ+デキサメタゾン併用療法とカルフィルゾミブ+デキサメタゾン併用療法の有効性を比較した (IKEMA試験).
方法
- 日本を含む北米、 南米、 欧州、 アジア太平洋地域の16カ国69施設で実施された前向き無作為化第Ⅲ相試験.
- 対象患者は、 18歳以上で、 1-3ラインの治療歴を有する再発・難治性多発性骨髄腫で、 血清または尿中のM蛋白質が測定可能である患者302例.
- 患者は、 イサツキシマブ+カルフィルゾミブ+デキサメタゾンを併用する群(イサツキシマブ群)またはカーフィルゾミブ+デキサメタゾンを併用する群(対照群)に3:2(179例:123例)の割合で無作為に割り付けられた.
- イサツキシマブ群の患者は、 イサツキシマブ10mg/kgを最初の4週間は毎週、 その後は2週間ごとに静脈内投与された. 両群ともに、 カルフィルゾミブの静脈内投与、 デキサメタゾンの経口投与または静脈内投与というスケジュールで投与された. 治療は進行または許容できない毒性が出るまで続けられた.
- 主要評価項目は、 intention-to-treat集団における無増悪生存期間とした.
結果
- 無増悪生存期間の中央値は、 イサツキシマブ群では未到達、 対照群の19.15カ月であり、 ハザード比は0.53であった.
- Grade3以上の治療下の有害事象(TEAE)は、 イサツキシマブ群で77%、 対照群で67%に発生した. 重篤なTEAEはそれぞれ59%、 57%で認められ、 治療中止に至ったTEAEはそれぞれ8%、 14%にみられた. 致命的なTEAEはともに3%の患者に発生した.
👨⚕️ 編集部からのコメント
Kd療法に対してイサツキシマブ上乗せ効果を示したIKEMA試験. 現時点で本邦ではイサツキシマブとカルフィルゾミブの併用は認められていないが、 今後有望な治療法の一つとなる可能性がある.
🗒 原著論文
Moreau P, et al. Isatuximab, carfilzomib, and dexamethasone in relapsed multiple myeloma (IKEMA): a multicentre, open-label, randomised phase 3 trial. Lancet. 2021 Jun 19;397(10292):2361-2371.
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