HOKUTO編集部
1年前

広島大学病院 脳神経内科の音成 秀一郎先生による人気連載 「けいれん診療ガイド」 では、 けいれんに関わるさまざまな疑問とそのTips、 キーワード等について、 初学者にも分かりやすく解説しています。 見逃した記事はありませんか?
高齢者の診断については、 通常のてんかんのプロセスと同じです。 原則としては 「24時間以上の間隔で2回の非誘発性発作が生じた場合」 にてんかんと判断されます。 発作型についても国際抗てんかん連盟によるてんかん発作分類に当てはめて考えます。


てんかんとPNESの鑑別ポイントで最も大事なのは持続時間です。 本来なら、 この持続時間でシンプルに区別できそうなのですが、 PNESの発作が長く続くと、 本物の 「てんかん重積状態 (発作が止まらない状態)」 ではないかと過剰に判断してしまうことがあります。

ERや病棟で発作に遭遇した際は、 その発作にはどんな特徴があったのかを観察しカルテ記載することも大事な任務です。 けいれん発作であれば、 左右差をチェックします。 例えば、 左半身優位にけいれん発作を呈していたのであれば、 その発作は反対側の右大脳半球 (特に運動野) から発生していることを示唆します。
発作をチェックすることで脳のどの領域から発作が発生したかを類推できるのですが、 この作業仮説を 「発作症候学 (semiology)」 とよびます。 てんかん発作は正常脳機能を介した発作の発現であるため、 その発作の性状を把握することで発作の焦点を類推できるのです。
非けいれん性てんかん重積状態 (NCSE: non-convulsive status epilepticus) を疑う状況にあれば、 その診断と治療のために緊急で脳波検査を開始することが理想的です。 一方で、 脳波検査が当日中に実施できないという状況も実際にはあるでしょう。 そうなると抗てんかん発作薬による診断的治療が選択されることもあります。 具体的にはジアゼパムなどベンゾジアゼピン系の薬剤を静注して、 症状の改善があればNCSEだろうと判断する戦略です。
NCSEを疑うべき症候として何があったのかを投与前にしっかりと診察しておくことは当然として、 理想的には脳波検査を行いながら抗てんかん薬を静注し、 症状と脳波の改善があるかを観察する必要があります。
「意識障害+α」 のαを診察で見つけましょう。 例えば、 よく観察するとミオクローヌスや眼振などが潜んでいることがあります。 一方で、 一点凝視や自動症、 失語症などの表現型としてNCSEを呈することもあります。
変動あるいは繰り返す場合に疑う症状¹⁾²⁾
パーキンソン病かな?と思って、 診察上もパーキンソニズムがありそうだと思ったら、 必ず問診でパーキンソン病の非運動症状をチェックしましょう。

パーキンソニズムを呈する疾患の中で、 パーキンソン病以外をパーキンソン症候群と一括して表現しますが、 そこには多種の鑑別がありますので、 押さえておきましょう。



けいれん性発作はてんかん性の発作だと説明しましたが、 ここで間違えてはいけないのが 「けいれん性発作=てんかん」 は必ずしも成立しないことです。 けいれん性発作は大脳に由来していることをさしているに過ぎず、 その病因 (けいれんを引き起こしている疾患・病態) までを示してはいません。 けいれん性発作は、
(1) 慢性疾患としての 「てんかん」
(2) 急性症候性発作
のどちらでも生じ得るのです。
C-NORSEではいかに早期に強固な免疫治療が導入できるかが一つのポイントなのですが、 そもそも除外診断で成り立つ概念であるため、 超急性期での診断がなかなか難しいというジレンマがあります。 そこで活用できるのがC-NORSEスコアです。

このうち、 ①と②は必須条件とされ、 合計で5点以上を満たす場合はC-NORSEの可能性が高いと判断されます。

頭部外傷や中枢神経感染症、 電解質異常などにより、 急性に発作が引き起こされることがあり、 これを急性症候性発作とよびます。 まず、 該当しうる急性症候性発作としての急性病因がないかどうかのチェックを要します。

発作が止まったことで安心せずに、 最後まで気道確保を怠らないことです。 鎮痙後にはバイタルサインの再確認に加えて、 速やかに側臥位へとポジショニングしましょう。 同時にバイタルサインの再検や、 吸引等の処置を行うと良いでしょう。 これにより発作後の誤嚥性肺炎の予防にもつながりますので、 コスパの良い重要な対応といえます。
薬剤間の明確な優位性を示す質の高いデータはなく、 また近年ではレベチラセタムの非劣性を示すデータも出てきています。 逆に言うと、 使い慣れた薬剤を選択すると言うことでもよいのかもしれません。
「何を選択するか?」 よりも 「いつどのように使うか?」 の方が大事だと考えています。 筆者は、 1st lineを投与して鎮痙が得られたら、 2nd lineも投与した上で患者を搬送するようにしています。

ホットラインの情報から 「早期のてんかん重積」 の可能性を想定してERで事前にできる準備を行いましょう。 特に1st lineに加えて2nd lineの薬剤を準備することがポイントで、 上級医の指示にすぐ対応できるようにしましょう。

脳卒中と同様に、 てんかん重積状態は時間との勝負。 発作による二次的脳損傷を回避するために速やかに発作を止める必要があり、 まさに神経救急としての “time is brain”です。
5分以上持続する発作はemergency だと判断しましょう。 その他にも 「初回の発作」、 「バイタルサインが不安定な発作」 などは治療介入が必要です。

今後も、新規記事を随時公開予定です。

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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