海外ジャーナルクラブ
30日前

Papiらは、 増悪を頻回に認める慢性閉塞性肺疾患 (COPD) 患者を対象に、 抗ST2ヒトIgG2モノクローナル抗体astegolimabの有効性および安全性について、 2件の二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験 (第Ⅱb相ALIENTO、 第Ⅲ相ARNASA) で検討した。 その結果、 astegolimabはCOPD増悪頻度を低下させる可能性がある一方、 試験間で統計学的有意性に一貫性はみられなかった。 本研究はLancet誌において発表された。
本研究の限界として、 プラセボ群の年間増悪率が想定していた1.5回より低かったため、 試験の統計学的検出力が低下した点が挙げられます。
COPD増悪には好中球性および好酸球性炎症が関与し、 IL-33とその受容体ST2はこれらの炎症経路に関わるとされる。 既存治療下でも増悪を繰り返すCOPD患者では治療選択肢が限られており、 血中好酸球数にかかわらず増悪抑制を目指す新規治療標的として、 ST2/IL-33経路の意義が検討された。
対象は、 現喫煙者または既喫煙者で、 頻回増悪歴を有するCOPD患者で、 ベースラインの血中好酸球数は問わなかった。 患者は、 astegolimab 476mg皮下注を2週毎 (astegolimab Q2W群)、 4週毎 (astegolimab Q4W群)、 またはプラセボ (プラセボ群) の3群に1 : 1 : 1の割合で割り付けられ、 52週間投与を行った。
主要評価項目は、 中等度または重度COPD増悪の年間発生率だった。
ALIENTO試験は1,301例 (astegolimab Q2W群433例、 astegolimab Q4W群437例、 プラセボ431例)、 ARNASA試験は1,375例 (astegolimab Q2W群459例、 astegolimab Q4W群459例、 プラセボ457例) が治療を開始した。
中等度または重度増悪の年間発生率のプラセボに対する調整率比は、 それぞれ下記の通り。
ALIENTO試験ではastegolimab Q2W群でプラセボ群と比較した増悪率低下が示された。 一方で、 ARNASA試験ではQ2W群において統計学的有意性を認めなかったものの、 Q4W群において有意な低下が認められた。
安全性について、 有害事象の発現は治療群間で概ね均衡していた。 COPD以外で最も多かった有害事象は、 ALIENTO試験では鼻咽頭炎、 ARNASA試験では上気道感染であった。
死亡はALIENTO試験で3.1%、 ARNASA試験で3.2%に認められ、 治療群間で均衡していた。
著者らは、 「既存の治療選択肢が限られているCOPD患者において、 増悪の頻度を減少させるためにST2/IL-33経路を標的とすることの有用性を示唆している」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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