海外ジャーナルクラブ
1年前
Yangらは、 ミスマッチ修復欠損 (dMMR) またはマイクロサテライト不安定性高値 (MSI-H) の局所進行直腸癌 (LARC) 患者を対象に、 術前免疫療法後に臨床的完全奏効 (cCR)、 もしくはそれに近い結果を得た後にwatch-and-wait (WW) アプローチを選択した患者と、 手術後に病理学的完全奏効 (pCR) が確認された患者の転帰を後ろ向きコホート研究で検討。 その結果、 術前免疫療法は高い有効性を示し、 WWアプローチは安全な選択肢であることが示された。 本研究はFront Immunol誌において発表された。
合計20症例の検討ですが、 後ろ向き解析の中で仮説がしっかりと生み出されており、 今後の前向き研究結果が期待されます。
術前免疫療法を受けたdMMR/MSI-HのLARC患者を後ろ向きに検討した。
2年全生存率 (OS)、 2年無病生存率 (DFS)、 局所再発 (LR)、 遠隔転移 (DM)
初回術前免疫療法としてPD-1阻害薬を投与された20例中、 18例 (90%) が中央値7サイクルの術前免疫療法後に完全奏効 (CR) を達成した。 そのうち11例が手術後にpCRを達成し (pCR群)、 7例がcCRに近い結果を得てWW戦略を選択した (WW群)。
中央値25.0カ月の追跡期間において、 両群ともLR、 DMの症例はなく、 各群の2年DFS、 OSは100%であった。
irAE
両群のirAEの発生率は同程度であった (P=0.627)
srAEなど
pCR群では2例 (18.2%) に永久人工肛門、 3例 (27.3%) に一時的回腸吻合術、 2例 (18.2%) にsrAEがみられた。
術前PD-1遮断療法はdMMR/MSI-HのLARC患者において高い有効性を示し、 高いCR率をもたらした。 WWアプローチは、 術前免疫療法後にcCRまたはそれに近いCRを達成したこれらの患者にとって、 安全で信頼できる選択肢であると思われる。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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