【急性大動脈解離】ADD-RS 救急外来で利用できる臨床予測ルールをご紹介!
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HOKUTO編集部

3年前

【急性大動脈解離】ADD-RS 救急外来で利用できる臨床予測ルールをご紹介!

本日は急性大動脈解離の診断予測スコアである 🔢 ADDリスクスコア¹⁾ をご紹介します!リンクからお気に入り登録することでいつでもご利用いただけます.

急性大動脈解離とは?

  • 大動脈壁の解離により引き起こされる①心膜腔への破裂 (心タンポナーデ)、 そして②分枝血流障害が主な病態である.
  • 分岐血流障害は、 脳虚血、 心筋虚血、 四肢虚血、 対麻痺など症状が極めて多彩である.
  • 本疾患の死亡率は高く、 早期かつ正確な診断と治療が求められる.
  • 現時点では特異度の高いマーカーは存在せず、 CTによる確定診断が必要となる.
  • ただし、全例に画像検査を行うことは医療費および被爆・造影剤暴露の観点からも現実的ではなく、 検査前確率の算出が推奨される.
  • 今回は診断予測のひとつである 🔢 ADDリスクスコア を紹介する.

ADD-RSとは?

  • Aortic dissection detection risk scoreの略.
  • 大動脈解離の診断予測スコアのひとつで、2010年にAHA/ACCなどのガイドラインで提唱された¹⁾.
  • 身体所見痛みの症状患者背景の3カテゴリー、合計0~3点で評価される¹⁾.
【急性大動脈解離】ADD-RS 救急外来で利用できる臨床予測ルールをご紹介!

エビデンス

Dダイマーと併用したアルゴリズム例²⁾

【急性大動脈解離】ADD-RS 救急外来で利用できる臨床予測ルールをご紹介!
文献2、3をもとに監修医作成
  • 欧米のガイドラインでは、 ADD-RSとDダイマーとを組み合わせたアルゴリズムが検査前診断確率を高めるとし推奨されている²⁾.
  • ADD-RS 0~1点で、 かつDダイマー<0.5μg/mLであれば、 大動脈解離の除外が可能で、 CT検査を省略できるとしている (感度99%、特異度35%³⁾).
  • ADD-RS 0点、かつDダイマー<0.5μg/mLで大動脈解離を除外とした場合は、感度100%、特異度15%とされる³⁾.
  • ADD-RS 2~3点の場合、 Dダイマーを測定することなくCT 検査を施行すべきである³⁾.

Dダイマーの閾値は?

  • Dダイマーは加齢に伴い上昇傾向にある.
  • Dダイマーを年齢で調整した閾値 (年齢×0.01μg/mL)を用いた場合、 ADD-RS 0点、かつDダイマー<0.5μg/mLもしくは年齢調整閾値未満 (年齢×0.01μg/mL)の場合、 感度99.9%であった⁴⁾.

使用上の注意点

  • 各カテゴリで1点までしか取得できない.
  • 本研究の大動脈解離有病率はいずれも高く、 低リスクグループで適切に使用できるかは不明である.
  • あくまで大動脈解離の除外スコアであり、 その他の致死的疾患(ACSや肺塞栓など)の除外が必要である.

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参考文献

  1. Circulation. 2010 Apr 6;121(13):e266-369. PMID: 20233780
  2. Eur Heart J. 2014 Nov 1;35(41):2873-926. PMID: 25173340
  3. Eur Heart J Acute Cardiovasc Care. 2020 Oct;9(3_suppl):S32-S39. PMID: 31970996
  4. Acad Emerg Med. 2020 Oct;27(10):1013-1027. PMID: 32187432

最終更新:2022年5月17日
監修医師:聖路加国際病院救急部 清水真人

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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