HOKUTO編集部
8日前

再発高リスク乳癌の術後患者を対象に、 血中循環腫瘍DNA (ctDNA) と無再発生存期間 (RFS) との関連を探索した日本発のJCOG1204A1試験の結果が報告された。 経時的な測定でctDNA陰性を維持した患者の術後5年RFSは99.5%、 陽性例では53.6%であった。 また、 初回陰性から陽転後に再発した患者では、 ctDNA検出が臨床的再発に中央値7.5ヵ月先行した。 がん研究会有明病院乳腺内科副部長の尾崎由記範氏が発表した。
JCOG1204試験は、 再発高リスク乳癌の術後患者 (1,034例) を対象にインテンシブフォローアップ (定期的な腫瘍マーカーと画像検査を追加) と標準フォローアップを比較した第Ⅲ相無作為化比較試験で、 主要評価項目は全生存期間 (OS) である。 インテンシブ群では再発が5.3ヵ月早く検出されたが、 RFSと遠隔無再発生存期間に群間差は認められなかった。 附随研究のJCOG1204A1では、 ctDNAを経時的に測定し、 ctDNAと予後との関連、 およびctDNA検出から臨床的再発までの期間 (lead time) を評価した。
対象はJCOG1204の登録例のうち、 手術から4年以内で登録時に再発のない患者である。 ctDNAの測定は術後1年以降に開始した。 腫瘍組織の変異情報に基づく個別化アッセイ (Signatera、 Natera社) を用い、 3~6ヵ月ごとに血漿検体を採取した。 測定期間はER陽性乳癌で最長5年、 ER陰性乳癌で2年とした。 1回でも陽性となった場合をctDNA陽性と定義した。 lead timeは、 初回のctDNA検査が陰性であった患者における、 初回のctDNA陽性から画像検査または臨床所見による再発診断までの期間とした。
ctDNAの測定結果が得られた210例のうち28例 (13.3%) が、 追跡期間中央値72.3ヵ月の間にctDNA陽性となった。
術後5年RFSは、 ctDNA陰性例で99.5%、 陽性例で53.6%であった (HR 60.3、 95%CI 20.5–177.5、 p<0.0001)。 ctDNAの陽性・陰性を時間依存性共変量としたCox比例ハザードモデルでも、 ctDNA陽性とRFS不良との関連が認められた (HR 27.7、 95%CI 10.1–75.4)。

ER陽性/HER2陰性のサブグループでは、 術後7年RFSがctDNA陰性例で94.1%、 ctDNA陽性例で15.9%であった (HR 32.0、 95%CI 10.8–95.3)。
初回のctDNA検査が陰性で、 その後ctDNA陽性に転じて再発した16例 (標準群4例、 インテンシブ群12例) では、 ctDNA検出が再発診断に先行する期間は中央値7.5ヵ月 (範囲0.3~18.9ヵ月) であった。 群別の中央値は、 標準群が7.4ヵ月 (範囲5.1~8.3ヵ月)、 インテンシブ群が9.5ヵ月 (範囲0.3~18.9ヵ月) であった。
尾崎氏は、 観察期間中にctDNA陰性を維持した患者の術後5年RFSは99.5%、 ctDNA陽性例では53.6%であったと報告。 また、 初回ctDNA陰性から陽転後に再発した患者では、 ctDNA検出が再発診断に中央値7.5ヵ月 (インテンシブ群9.5ヵ月) 先行したことから、 「特にER陽性/HER2陰性乳癌において、 体系化された術後フォローアップへのctDNA測定の組み込みを支持する」と結論した。

今回のJCOG1204A1では、 ctDNAが強い予後因子となることが示され、 これまでの多くの結果と一貫しています。 一方、 既報のctDNAに関する研究では、 通常のフォローアップとctDNAが比較されています。 本研究の特徴は、 インテンシブ群とctDNAとのlead timeを評価できた点であり、 その点が世界的に重要なデータとして受け入れられたのだと思います。
JCOG1204では、 2027年に主要評価項目であるOSの解析を実施し、 インテンシブフォローアップの有効性を評価する予定です。 その結果を踏まえて、 ctDNAとの関連や臨床応用などについて、 さらに議論していきたいと考えています。
日本臨床腫瘍研究グループ (JCOG) のご参加の研究者の皆様、 関係の皆様、 また試験にご参加いただいている患者様やご家族の皆様に、 あらためて感謝申し上げます。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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