HOKUTO編集部
6ヶ月前

移植不適格で再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫・非特定型 (DLBCL, NOSまたは低悪性度から形質転換したDLBCL) において、 R-GemOx*への抗CD79b抗体薬物複合体ポラツズマブ ベドチンの上乗せ効果を、 R-GemOx単独と比較検証した第Ⅲ相オープンラベル無作為化比較試験POLARGOの結果より、 OSおよびPFSが有意に改善した。 米・Rutgers Cancer InstituteのMatthew Matasar氏が発表した。
ポラツズマブ ベドチンはDLBCLの1次治療および再発・難治例に対して承認されている。 再発・難治例では同薬とベンダムスチン、 リツキシマブとの併用療法が行われているものの¹⁾²⁾、 依然として代替となる治療選択肢が求められている。
対象は自家造血幹細胞移植が不適格で、 1ライン以上の前治療を有する再発・難治性で非特定型 (DLBCL, NOS) の患者、 または低悪性度から形質転換したDLBCL患者だった。
本試験は15例で安全性を検討した後、 255例を以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けた。
主要評価項目は全生存期間 (OS) だった。 主な副次的評価項目は無増悪生存期間 (PFS)、 客観的奏効率 (ORR) だった。
年齢中央値、 地域、 Ann Arbor分類などの患者背景は両群で概ねバランスが取れていた。 前治療歴が1ラインはPola-R-GemOx群が62.8%、 R-GemOx群が64.3%。 DLBCL, NOSはそれぞれ89.9%、 92.1%だった。
追跡期間中央値24.6ヵ月におけるOS中央値は、 R-GemOx群の12.5ヵ月(95%CI 8.9-15.8ヵ月)と比較し、 Pola-R-GemOx群では19.5ヵ月(95%CI 13.3ヵ月-NE)と有意に改善した(HR 0.60 [同 0.43-0.83]、 p=0.0017)。
24ヵ月OS率はそれぞれ44.0%、 33.2%だった。 またOSサブグループ解析の結果、 事前に規定されたほぼ全てのサブグループにおいて、 Pola-R-GemOx群のR-GemOx群に対する優位性が一貫して認められた。
追跡期間中央値18.7ヵ月におけるPFS中央値は、 Pola-R-GemOx群が7.4ヵ月(95%CI 6.2-11.7ヵ月)、 R-GemOx群が2.7ヵ月(同 2.4-3.3ヵ月)だった(HR 0.37 [同 0.27-0.51]、 p<0.0001)。 12ヵ月PFS率はそれぞれ36.6%、 17.9%だった。
ORRはPola-R-GemOx群が52.7%、 R-GemOx群が24.6%とPola-R-GemOx群で高かった。 また後続治療を必要とする患者の割合は、 R-GemOx群(65.1%)がPola-R-GemOx群(45.7%)より高かった。
Grade3~4の有害事象 (AE) 発現率はそれぞれ57.0%、 58.4%で、 重篤な治療関連AEは28.1%、 22.4%で認められた。 病勢進行による死亡は、 Pola-R-GemOx群 (29.7%) に比べてR-GemOx群 (56.0%) で多く報告された。
主なGrade3以上のAEは、 血小板減少症(Pola-R-GemOx群34.4%/R-GemOx群26.4%)、 好中球減少症(33.6%/30.4%)、 発熱性好中球減少症(2.3%/2.4%)、 貧血(13.3%/15.2%)、 感染(21.9%/9.6%)、 肝毒性(8.6%/1.6%)であり、 Grade3の末梢神経障害の発現率は3.9%/0%だった。
Matthew Matasar氏は 「本試験の結果は移植不適格で再発・難治性のDLBCLにおいて、 ポラツズマブ ベドチンと化学療法の併用療法が有益であることを裏付けるものである」 と報告した。
¹⁾ N Engl J Med. 2022;386(4):351-363.
²⁾ J Clin Oncol. 2020;38(2):155-165.

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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