【NSABP B-15試験】内分泌療法抵抗性乳癌術後におけるAC療法
著者

HOKUTO編集部

7ヶ月前

【NSABP B-15試験】内分泌療法抵抗性乳癌術後におけるAC療法

【NSABP B-15試験】内分泌療法抵抗性乳癌術後におけるAC療法
腋窩リンパ節転移陽性かつ内分泌療法に不応な原発性乳癌の術後療法において、アドリアマイシン+シクロホスファミド (AC療法) 、 シクロホスファミド+メトトレキサート+フルオロウラシル (CMF療法) 、 AC療法後にCMF療法を実施する3群を比較した第Ⅱ相無作為化試験NSABPの結果より、 無病生存期間 (DFS) 、 遠隔無病生存期間 (DDFS) 、 全生存期間 (OS) に3群間で有意差のないことが示された。

原著論文

▼解析結果

Two months of doxorubicin-cyclophosphamide with and without interval reinduction therapy compared with 6 months of cyclophosphamide, methotrexate, and fluorouracil in positive-node breast cancer patients with tamoxifen-nonresponsive tumors: results from the National Surgical Adjuvant Breast and Bowel Project B-15. J Clin Oncol. 1990 Sep;8(9):1483-96. PMID: 2202791

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NSABP B-15試験の概要

対象

腋窩リンパ節転移が少なくとも1個ある、 手術可能なタモキシフェンに非反応*の術後原発性乳癌患者

*プロゲステロン受容体 (PgR) 値が10fmolを超える腫瘍を有する50-59歳の女性、 およびエストロゲン受容体 (ER) の有無に関わらず、 年齢が60-70歳の全患者

方法

2,338例を以下の3群に1:1:1で割り付けた。 3群とも術後2〜5週の間に開始された。

  • AC療法群 (781例)
アドリアマイシン60mg/m²+シクロホスファミド600mg/m²を投与、 21日毎に4サイクル実施
  • AC療法→CMF療法群 (781例)
AC療法はAC療法群と同様。 AC療法の最終コース6ヶ月後にシクロホスファミド750mg/m²をday1、 メトトレキサート40mg/m²をday1,8、 5-FU 600mg/m²day1,8に投与、 28日毎に3サイクル実施
  • CMF療法群 (776例)
シクロホスファミド100mg/m²をday1-14、 メトトレキサート40mg/m2をday1,8、 5-FU600mg/m²をday1,8に投与、 28日毎に6サイクル実施

評価項目

DFS、 DDFS、 OS

NSABP B-15試験の結果

DFS

3群間で有意差を認めず

p=0.5

DFS率 (3年時) 

  • AC療法群:62%
  • AC療法→CMF療法群:68%
  • CMF療法群:63%

DDFS

3群間で有意差を認めず

p=0.5

DDFS率 (3年時) 

  • AC療法群:68%
  • CMF療法群:68%

OS

3群間で有意差を認めず

p=0.8

OS率 (3年時) 

  • AC療法群:83%
  • CMF療法群:82%

有害事象 (AE)

  • 骨髄抑制、 出血性膀胱炎、 体重増加は、AC療法群の方がCMF療法群よりもわずかに症状が軽かった。
  • 嘔吐はAC療法群76%、 AC療法→CMF療法群57%、 CMF療法群39%で認め、 AC療法群では嘔吐症状がより重症であった。
  • 嘔吐を伴わない吐き気は、 AC療法群やAC療法→CMF療法群よりも、 CMF療法群で多くみられた。
  • 下痢はCMF療法群で多くみられた (AC療法群2.9%、 AC療法→CMF療法群2.6%、 CMF療法群4.8%)。
  • 脱毛はAC療法群の92%、 AC療法→CMF療法群の37%、 CMF療法群の71%にみられ、 50%以上の脱毛はAC療法群89%、 AC療法→CMF療法群14%、 CMF療法群41%であった。
  • 治療が遅延したコースの割合および遅延したコースを有する患者の割合は、 CMF療法群に最も多く、 最も少なかったのはAC療法→CMF療法群であった。

著者らの結論

  • 腋窩リンパ節転移を有する術後原発性乳癌患者において、 AC療法群、 AC→CMF療法群、 CMF療法群の3群間でDFS、 DDFS、 OSに有意差はないことが示された。
  • 治療成績がほぼ同様であることから、 腋窩リンパ節転移を有する原発性乳癌患者の術後療法においては、AC療法が望ましいと考えられる。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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