インタビュー
1年前
ハイパーなのに笑顔が絶えないーー。 中頭病院 (沖縄県沖縄市) は、 にわかに信じがたい研修を実践しています。 救急科部長で副研修管理委員長の間山泰晃先生に秘訣などを聞きました。
――救急車の受け入れ台数が多い。
間山先生「沖縄では最多の年間7000〜8000台です。 ベッド数約350の病院規模から考えてもかなり多いでしょう。研修医は1学年12人ですが、 正直ハイパーです」
「当直体制は、 基本的に準深の研修医1年目の先生が救急車のファーストタッチをして、 準夜の2人が内科および外科の時間外を診るという形です。 準夜 (午後6時〜午後10時)、 準深 (午後6時〜翌日午前8時) を合わせると、 当直回数は月7回になります」
間山先生 「救急車の受け入れが多いのでcommon diseaseが多く診られます。 加えて、 1年目の5月から昼間の総合内科外来を1人でこなしてもらいます。 1人で診療をすることで患者さんへの対応力、 説明力を学ぶことができます。 ただし、 すぐ隣のブースに上級医が控えているので心理的に安心して行なえると思います」
――かなり大変そうに思える。
間山先生 「大変なのは間違いないですが、 皆楽しそうにやっています。 インタビューを受けるに当たって、研修医の先生に改めて確認しましたが、 異口同音に『楽しい』との答えでした。 理由は主に4点あります」
「まず、 診察で悩んだ点などをそのままにせず、 すぐフィードバックを受けられる体制を整えていることが挙げられます。 指導医との距離が近いということもあって、 臨床現場の楽しさが十分に伝わっているのではないかと考えています」
「次に、 カンファレンスの雰囲気もとても和やかな点です。 夜勤明けで疲れて殺伐としていることはありません。 症例のフィードバックはしっかりやりますが、 それ以外のところで面白い発言が毎回必ずあるような感じ。 笑いがないと、 『今日はなんか暗かったね』 となるほどです。そういった雰囲気だからこそ、 ネガティブなフィードバックがあったとしても研修医も動揺せずにやれていると感じています」
「診療科の垣根はもちろん低いですし、 医療スタッフの方ともフランクです。 特に研修医は看護師さんにライン確保などの簡単な手技から患者様との接し方まで、 とても多くのことを教わっています」
間山先生 「最後は、 実家のように親しみやすい病院全体の雰囲気です。 事務担当の方があまりに優しくて、 昼ご飯を事務の席で食べている研修医もいます」
「システムなどで構築したものではなく、 当院で初期研修をした先生が後期研修でも残るなどする中で自然と醸成されてきたものです。理由を聞かれると難しいですが、沖縄の中でも少し田舎で、 より人の温かさが残っている地域ということも影響しているのかもしれません。 私は20年近く前からいますが、 当時から雰囲気は良かったです」
――研修同士の関係性は
間山先生「仲はかなり良さそうですが、 基本的には研修医の誰かが必ず当直に入っている状況です。 病院として、 年に1回全員が完全フリーになる日を設けて、 親睦を深める機会を提供しています」
ーー医学生にメッセージを
間山先生 「人間関係で悩んだり、 雑務が多かったりする問題がないので、 研修に集中できる環境です。 当院は症例数も多く、 研修1年目の戦力がないと成り立ちません。 圧倒的な実践力が身につくと思います」
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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