海外ジャーナルクラブ
7ヶ月前
Leon-Ferreらは、 術前または術後補助化学療法歴のない早期トリプルネガティブ乳癌 (TNBC) 患者を対象に、 乳癌組織中の腫瘍浸潤リンパ球 (TIL) の量と癌再発および死亡との関連を後ろ向きプール解析で検討した。 その結果、 TIL量が高値なほど有意に生存率が良好であることが示された。 本研究はJAMA誌において発表された。
非常にクリアな解析結果で、 早期TNBC患者における高いTILレベルは、 有意に良好な生存に関連しているとの結論です。 9つのlimitationが挙げられていますが、 どれも形式的なもので大きなものではありません。
術前・術後化学療法未実施の早期TNBC患者において、 乳癌組織中のTIL量と癌の再発および死亡との関連は不明であった。
1979~2017年にTNBCと診断され、 術前または術後補助化学療法を受けていない早期TNBC患者 : 1,966例
切除された原発腫瘍の乳房組織におけるTIL量と予後の関連について後ろ向きにプール解析を実施した。
無浸潤疾患生存期間 (iDFS)
無再発生存期間 (RFS)、 無遠隔再発生存期間 (DRFS)、 全生存期間 (OS)
追跡期間中央値18年の時点で、 年齢、 腫瘍の大きさ、 リンパ節転移の有無、 組織学的悪性度、 放射線治療歴で補正後、 TIL量が10%増加するごとに、 iDFSイベントリスク、 RFSイベントリスク、 DRFSイベントリスク、 死亡リスクが低下した。
iDFSイベントリスク : 8%低下
HR 0.92 (95%CI 0.89-0.94)
RFSイベントリスク : 10%低下
HR 0.90 (同0.87-0.92)
DRFSイベントリスク : 13%低下
HR 0.87 (同0.84-0.90)
死亡リスク : 12%低下
HR 0.88 (同0.85-0.91)
TIL量の増加はiDFS、 RFS、 DRFS、 OSの改善と独立した関連が認められた。
尤度比検定のp<0.000001
著者らは、 「術前または術後補助化学療法を受けていない早期TNBC患者において、 乳癌組織中のTIL量が高いほど、 有意に生存率が良好であった。 これらの結果は、 乳房組織のTIL量が早期TNBC患者の予後因子であることを示唆している」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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