【Lancet】強化血糖コントロールで死亡・心筋梗塞リスクが生涯にわたり減少
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海外ジャーナルクラブ

3ヶ月前

【Lancet】強化血糖コントロールで死亡・心筋梗塞リスクが生涯にわたり減少

【Lancet】強化血糖コントロールで死亡・心筋梗塞リスクが生涯にわたり減少
Adlerらは、 2型糖尿病の患者を対象に、 スルホニル尿素、 インスリン、 メトホルミンによる「強化血糖コントロール」と食事療法を中心とする従来の血糖コントロールの長期効果を無作為化比較試験で検討した。 その結果、 強化血糖コントロールは、 死亡および心筋梗塞のリスクをほぼ生涯にわたって減少させることが明らかとなった。 本研究は、 Lancet誌において発表された。

📘原著論文

Post-trial monitoring of a randomised controlled trial of intensive glycaemic control in type 2 diabetes extended from 10 years to 24 years (UKPDS 91).Lancet. 2024 May 17:S0140-6736(24)00537-3. PMID: 38772405

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

これほど大規模かつ長期間 (24年間) にわたる研究が実行できる英国の凄みを感じます。 実臨床応用としては、 診断後できるだけ早く正常に近い血糖値に到達することの意義を強調しています。

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10年後以降、 さらに14年間追跡

20年間にわたるUK Prospective Diabetes Study (UKPDS) では、 新たに2型糖尿病と診断された患者に対して、 スルホニル尿素またはインスリン、 メトホルミンによる強化血糖コントロールが従来の血糖コントロールと比較して臨床的に有意な利益をもたらすことが示された。 試験後の10年間の追跡調査においても、 これらの治療効果が持続することが確認されたが、 さらに14年間の追跡調査を行うことで、 これらの効果が減弱するかどうかを明らかにすることを目的として試験が行われた。

7つの臨床転帰を検討

対象

1977~91年に登録された2型糖尿病患者のうち、 20年間の介入試験終了後に行われた10年間の試験後モニタリングの終了時に生存していた患者 : 1,489例

介入

患者を以下の群に無作為に割り付けた。

  • 強化血糖コントロール群
スルホニル尿素またはインスリン (体重増加が見られる場合はメトホルミン) による強化血糖コントロールを実施
  • 従来コントロール群
従来の血糖コントロール (主に食事療法) を実施

方法

国民保健サービス (NHS) のデータとリンクさせることにより、 さらに14年間の追跡を実施。 7つの臨床転帰 (糖尿病関連エンドポイント、 糖尿病関連死亡、 全死因死亡、 心筋梗塞、 脳卒中、 末梢血管疾患、 微小血管疾患) について検討した。

メトホルミンで全死亡 / 心筋梗塞の相対リスクが20% / 31%低減

治療によるレガシー効果の継続

試験終了後24年間、 血糖値とメトホルミンのレガシー効果には減弱の徴候はみられなかった。

強化血糖コントロール群の成績

強化血糖コントロールは従来コントロールと比較して以下のような結果を示した。

全死因死亡

  • 相対リスク : 10%減少
95%CI 2-17、 p=0.015
絶対リスク 2.7%減少

心筋梗塞

  • 相対リスク : 17%減少
95%CI 6-26、 p=0.002
絶対リスク 3.3%減少

細小血管疾患

  • 相対リスク : 26%減少
95%CI 14-36、 p<0.0001
絶対リスク 3.5%減少

メトホルミンによる治療の成績

メトホルミンによる強化血糖コントロールは以下の結果を示した。

全死因死亡

  • 相対リスク : 20%減少
95%CI 5-32、 p=0.010
絶対リスク4.9%減少

心筋梗塞

  • 相対リスク : 31%減少
95%CI 12-46、 p=0.003
絶対リスク6.2%減少

細小血管疾患

有意なリスクの低下は認められなかった。

脳卒中や末梢血管疾患への影響

脳卒中や末梢血管疾患については有意なリスクの低下は認められなかった。

早期からの正常血糖維持が重要

スルホニル尿素またはインスリン、 あるいはメトホルミンによる早期の強化血糖コントロールは、 従来の血糖コントロールと比較して死亡および心筋梗塞のリスクをほぼ生涯にわたって減少させることが示された。 糖尿病に関連する合併症のリスクを最小化するためには、 診断直後からの正常血糖に近い状態を実現することが重要である」 と述べている。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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