HOKUTO編集部
6ヶ月前
本連載は4人の腫瘍内科医による共同企画です。 がん診療専門医でない方でもちょっとしたヒントが得られるようなエッセンスをお届けします。 第13回は虎の門病院・三浦裕司先生から、第12回に続き 「抗がん薬を使うかどうかを患者さんと話すときの考え方」 です! ぜひご一読ください。
もし、 ガイドライン通りの標準治療だけをしておけばいいのであれば、 もしかしたら腫瘍内科医はいらないのかもしれません。 しかし図で示した青丸のように、
「エビデンスのしっかりした標準治療を、 その元になった臨床試験の適格基準や患者背景に合致した患者さんにだけ投与して、 それ以外の人たちは、 不適格として治療しない」
…という判断をしたら、 どうなるでしょう?
実臨床において、 そのような患者さんは限られた一部です。 そのため、 多くの患者さんが難民化するかもしれません。
ただ、 赤丸で示した外側、 明らかに患者さんに害になるというラインについて熟知して、 それをしっかりと患者さんにお伝えするのも腫瘍内科医の大事な仕事です。
そして、オレンジの矢印で示したように、 標準治療のど真ん中からは外れているが、 その周囲に許容範囲の幅がある場合、 幅の 「程度 (どのくらい許容できるか) 」 と 「限界 (どこまで許容できるか) 」 を見定めることができるか。
この辺りが腫瘍内科医の腕の見せ所でもあり、 そして第12回でお話ししたSDMのプロセスがより大事になってくる状況だと思います。
次回は、 この標準治療の外側の許容範囲の幅の見定め方についてさらに突っ込んで話をしたいと思います。
(後編に続く)
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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