【Lancet Haematol】リンパ腫様肉芽腫症、低悪性度は免疫療法、高悪性度は化学療法が効果
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海外ジャーナルクラブ

2年前

【Lancet Haematol】リンパ腫様肉芽腫症、低悪性度は免疫療法、高悪性度は化学療法が効果

【Lancet Haematol】リンパ腫様肉芽腫症、低悪性度は免疫療法、高悪性度は化学療法が効果
Melaniらは、 リンパ腫様肉芽腫症 (LYG) 患者を対象に、 低悪性度LYGへの免疫療法 (IFN-α-2b) と高悪性度LYGへの標準化学療法 (DA-EPOCH-R) の有効性と安全性を非盲検単施設第Ⅱ相試験で検討。 その結果、 低悪性度LYG にはIFN-α-2bによる免疫療法が有効であり、 高悪性度LYGにおいてもDA-EPOCH-Rによる化学療法が効果を示した。 本研究はLancet Haematol誌において発表された。 

📘原著論文

Interferon alfa-2b in patients with low-grade lymphomatoid granulomatosis and chemotherapy with DA-EPOCH-R in patients with high-grade lymphomatoid granulomatosis: an open-label, single-centre, phase 2 trial.Lancet Haematol. 2023 May;10(5):e346-e358. PMID: 37011643

👨‍⚕️監修医師のコメント

前向き研究で期間が約30年間(1991年〜2019年)、 徐々に患者数の設定を変更したようですが、 何よりも30年間本研究を継続したことに敬意を表します。


背景

LYGは、 EBウイルス関連B細胞リンパ増殖性疾患であり、 全生存期間 (OS) の中央値が2年未満である。 本研究では、 低悪性度LYGは免疫依存性であり、 高悪性度LYGは免疫非依存性であるという仮説を立て、 それに基づく治療法を検討した。

研究デザイン

対象

12歳以上の未治療、 または再発・難治性のLYG患者。

介入

  • 低悪性度LYG:用量漸増型のIFN-α-2bを投与
700-500万IUを週3回皮下投与し、 最良奏効まで1年間継続
  • 高悪性度LYG:DA-EPOCH-Rの静脈内投与を3週毎6サイクル実施

主要評価項目

初回治療後またはクロスオーバー治療後に全奏効を示した患者の割合と5年無増悪生存率 (PFS)。

研究結果

低悪性度LYG群のOS、 CR率

  • IFN-α-2bによる初回治療後のOS:64% (44例中28例)、 完全奏効 (CR) 率:61% (44例中27例)
  • IFN-α-2bによるクロスオーバー治療後のOS:63% (8例中5例)、 CR率:50% (8例中4例)

高悪性度LYG群のOS、 CR率

  • DA-EPOCH-Rによる初回治療後のOS率:76% (17例中13例)、 CR率:47% (17例中8例)
  • DA-EPOCH-Rによるクロスオーバー治療後の全奏効率:67% (15例中10例)、 CR率:47% (15例中7例)

5年PFS

  • IFN-α-2bによる初回治療後:48.5% (95%CI 33.2-62.1%)
  • IFN-α-2bによるクロスオーバー治療後:50.0% (95%CI 15.2-77.5%)
  • DA-EPOCH-Rによる初回治療後:25.4% (95%CI 8.2-47.2%)
  • DA-EPOCH-Rによるクロスオーバー治療後:62.5% (95%CI 34.9-81.1%)

IFN-α-2bで最も一般的なグレード3以上の有害事象の発現

  • 好中球減少症:53% (51例中27例)
  • リンパ球減少症:47% (51例中24例)
  • 白血球減少症:47% (51例中24例)

DA-EPOCH-Rで最も一般的なグレード3以上の有害事象の発現

  • 好中球減少:88% (33例中29例)
  • 白血球減少:85% (33例中28例)
  • 感染:55% (33例中18例)
  • リンパ球減少:52% (33例中17例)

重篤な有害事象

IFN-α-2bによる治療を受けた25% (51例中13例)、 DA-EPOCH-Rによる治療を受けた64% (33例中21例) に発現した。

治療関連死

治療関連死はIFN-α-2bによる血栓塞栓症、 感染症、 血球貪食症候群が1例、 DA-EPOCH-Rによる感染症と血球貪食症候群が1例であり、 5例が死亡した。

結果の解釈

IFN-α-2bは、 低悪性度LYGの治療に有効であるため、 高悪性度LYGへの進行を抑制し、 高悪性度LYGに対する化学療法も期待通りの反応を示した。 EBウイルスの免疫制御がうまくいかないと、 化学療法後に低悪性度LYGが出現するが、 IFN-α-2bによる治療が有効であるという仮説がある。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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