【NEJM】非分節性白斑の治療にルキソリチニブクリームが有効
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海外ジャーナルクラブ

1年前

【NEJM】非分節性白斑の治療にルキソリチニブクリームが有効

【NEJM】非分節性白斑の治療にルキソリチニブクリームが有効
Rosmarinらは、体表面積10%以下の色素脱失がある非分節性白斑の患者を対象に、ルキソリチニブの有効性と安全性を第Ⅲ相二重盲検基剤対照試験2件で検討 (TRuE-V1試験、TRuE-V2試験)。その結果、ルキソリチニブクリームの塗布は、2つの試験において顔の白斑面積スコア指数 (F-VASI) を改善させたが、有害事象として塗布部位にざ瘡やそう痒症が確認された。本研究は、NEJM誌において発表された。

📘原著論文

Two Phase 3, Randomized, Controlled Trials of Ruxolitinib Cream for Vitiligo. N Engl J Med. 2022 Oct 20;387(16):1445-1455.PMID: 36260792

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

JAKシグナル伝達系がTcell活性化のキーであることから、JAK阻害薬が皮膚疾患に対して素晴らしい効果を示しています。アトピー性皮膚炎、円形脱毛症に続き、本研究では白斑にも臨床効果を示しています。今後皮膚科領域での同様の効果の報告が続くもの、期待されます。

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背景

白斑は、皮膚の色素脱失を引き起こす慢性の自己免疫疾患である。 ルキソリチニブのクリーム製剤は、白斑の成人を対象とした第Ⅱ相試験において、色素沈着をもたらした。

研究デザイン

体表面積10%以下に色素脱失がある非分節性白斑の12歳以上の患者を以下の2群に2:1の割合でランダムに割り付けた。

  • ルキソリチニブ群:1.5%のルキソリチニブクリームを1日2回、24週間、顔や体のすべての白斑部位に塗布。
  • 対照 (基剤) 群:対照薬を1日2回、24週間、顔や体のすべての白斑部位に塗布。

評価項目は以下の通り。

  • 主要評価項目:24週時点のF-VASIの75%以上の低下 (F-VASI 75)
  • 副次評価項目:白斑症状評価尺度 (VNS) の改善など、5項目が設定された。

研究結果

TRuE-V1試験に330名、TRuE-V2試験に344名の患者が登録された。

有効性評価

TRuE-V1において24週時点でF-VASI 75が確認された患者の割合

  • ルキソリチニ群:29.8%
  • 対象群:7.4%
相対リスク 4.0、95% CI 1.9~8.4、P<0.001

TRuE-V2において24週時点でF-VASI 75が確認された患者の割合

  • ルキソリチニ群:30.9%
  • 対象群:11.4%
  • 相対リスク 2.7、95%CI、1.5-4.9、P<0.001

副次評価項目に関しても、ルキソリチニブ群の優越性が示された。

安全性評価

ルキソリチニブクリームを52週間塗布した患者の有害事象発生率

  • TRuE-V1試験:54.8%
  • TRuE-V2試験:62.3%

主な有害事象

  • 塗布部位のざ瘡
  • TRuE-V1試験:6.3%、TRuE-V2試験:6.6%
  • 鼻咽頭炎:TRuE-V1試験:5.4%、TRuE-V2試験:6.1%
  • 塗布部位のそう痒:TRuE-V1試験:5.4%、TRuE-V2試験:5.3%

結論

2つの第Ⅲ相試験において、ルキソリチニブクリームの塗布は、52週間を通じて白斑病変の色素沈着を対照群よりも拡大したが、有害事象として塗布部位のざ瘡とそう痒症が確認された。白斑患者におけるルキソリチニブクリームの効果および安全性を明らかにするため、より大規模で長期間の試験が必要である。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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