海外ジャーナルクラブ
7ヶ月前
月田氏らは、 高齢進行非小細胞肺癌 (NSCLC) 患者を対象に、 免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) +化学療法併用の有効性および安全性について、 後ろ向きコホート研究で検討した。 その結果、 同併用療法はICI単独療法と比較して患者の全生存期間 (OS) を改善せず、 免疫関連有害事象 (irAE) の発生率を増加させたことが示された。 本研究はJAMA Oncolにおいて発表された。
超高齢化社会+国民皆保険制度の本邦の強みを生かしたreal world data研究です。 結果も受け入れやすく、 領域を超えて同じようなデザインでの研究が可能だと思います。
Durvalumab/Tremelimumab + Chemotherapy
ICI+化学療法の併用は、 標的化可能な癌遺伝子変異を伴わないNSCLCに対する標準治療として確立されているものの、 75歳以上の高齢者におけるデータは限られている。
臨床病期ⅢB期、 ⅢC期、 Ⅳ期で術後または放射線治療後に再発した75歳以上のNSCLC患者 : 1,245例
2022年2~10月のデータを解析
OS
無増悪生存期間 (PFS)、 安全性
傾向スコアマッチングの結果、 OSおよびPSFにおいて、 ICI+化学療法群とICI単独群の間に有意差は認められなかった。
OS
HR 0.98 (95%CI 0.67-1.42、 p=0.90)
PFS
HR 0.92 (95%CI 0.67-1.25、 p=0.59)
PD-L1発現を1~49% (低値) または50%以上 (高値) に分けて解析した場合も、 有意性は認められなかった。
Grade3以上のirAE発現率
p=0.03
著者らは 「75歳以上のNSCLC患者において、 ICI+化学療法併用療法はICI単独療法と比較してOSを改善せず、 Grade3以上のirAE発現率を増加させた。 この結果より、 高齢のPD-L1陽性NSCLC患者にはICI単独療法が推奨される可能性が示唆された」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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