海外ジャーナルクラブ
10日前
Raskoらは、 重症または中等症の血友病B患者を対象に、 遺伝子治療薬フィダナコゲン エラパルボベクの長期的な安全性および有効性を検討した。 その結果、 本治療は3~6年にわたり持続的な有効性と良好な安全性プロファイルを示すことが明らかとなった。 本研究はNEJM誌にて発表された。
HIV感染のある2人の参加者の安全性・有効性は、 全体のコホートと同様でした。 このことから、 ウイルス量が検出されない患者は、 慢性HIV感染を研究の除外基準とすべきではないことを示唆しています。
成人血友病Bへの遺伝子治療フィダナコゲン エラパルボベク、 標準治療への優越性を証明
フィダナコゲン エラパルボベクは、 高活性第IX因子変異体 (FIX-R338L, FIX-Padua) を発現させるアデノ随伴ウイルス (AAV) ベクターであり、 第Ⅰ/Ⅱa相試験において血友病B治療に有望な短期成績が示されていた。
本研究はその長期的な安全性と有効性の検証を目的として実施された。
1年間の試験において、 第IX因子活性が正常値の2%以下である重症または中等症の血友病B患者15例に、 フィダナコゲン エラパルボベクを5×10¹¹ベクターゲノム/kgの用量で投与し、 投与後1年時点で、 5年間の追跡調査への登録を受け付けた。
安全性評価項目は、有害事象、 臨床検査値の推移などであり、 有効性評価項目は、 治療を要した年間出血率、 第IX因子活性などであった。
14例が参加し、 3年以上 (中央値5.5年、 範囲3~6年) 追跡され、 データカットオフ時点で8例が参加を継続中であった。 2年目以降に治療関連有害事象は報告されなかった。 追跡期間全体では、 4例に9件の重篤な有害事象が認められたが、 いずれも血栓性または治療関連ではなかった。 第IX因子インヒビターの発生は認められなかった。
追跡期間を通じて第 IX 因子平均活性は軽症血友病域にあり、 平均年間出血率は1未満、 10例は治療を要する出血が発生しなかった。
1年目以降の肝臓エコー検査では癌の所見はなかったが、 体重増加およびアミノトランスフェラーゼ上昇 (ALT最大値77 U/L) を伴う脂肪肝が4例に確認された。 1例 (C型肝炎、 B型肝炎、 HIVの感染歴あり、 高体格指数) で肝線維化の進行が認められた。 8例が13回の手術を受け、 10回で外因性第IX因子が使用されたが、 予期しない関連出血性合併症は発生しなかった。
著者らは、 「フィダナコゲン エラパルボベクは、 3~6年間にわたり、 全く、 あるいは低グレードの副作用のみ認められた。 有効性は、 あらゆる適応症に使用されるAAVの静脈内投与量の中でも最も低用量の1つである5×10¹¹ベクターゲノム/kgで長期に維持された」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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