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7日前

免疫チェックポイント阻害剤使用中の肺癌患者、 mRNAワクチンは安全でirAE増やさず


Hibinoらは, 免疫チェックポイント阻害剤 (ICI) による治療をうけている肺癌患者126名を対象に, 新型コロナウイルス (SARS-CoV-2) mRNAワクチン接種の安全性と有効性, 免疫関連有害事象 (irAE) のリスクについて検討する多施設共同観察研究を実施. その結果, ICIによる治療を受けている肺癌患者は, irAEの発症を増加させることなく安全にワクチンを接種できたが, 免疫原性は低いことが明らかとなった. 本研究はJ Thorac Oncol誌において発表された.

背景

がん患者は, SARS-CoV-2に対するワクチン接種の優先対象になっている. しかし, 肺癌患者, 特にICIを投与されている患者へのmRNAワクチン接種の安全性, 有効性, irAEの発症リスクに関するデータは限られていた.

研究デザイン

  • 初回ワクチン接種前4週間~2回目ワクチン接種後4週間の間にICIによる治療を受けている成人肺癌患者が対象とした.
  • 主要評価項目:ワクチン接種を行わない場合の発症率を35%と仮定した場合のirAE発症率.
  • 免疫原性は, SARS-CoV-2に対する抗S-IgG抗体価を測定することにより評価した.

研究結果

  • ワクチン接種前後のirAE発症率は, ワクチン非接種時の予測35%をいずれもを下回っていた.
  • ワクチン接種前:20.6% (95%CI 13.9~28.8)
  • ワクチン接種後:5.6% (95%CI 2.3~11.1)
  • ワクチン接種後に既存のirAEが増悪した症例はみられなかった.
  • S-IgG抗体は, 肺癌患者と対照者において, それぞれ96.7%と100%でセロコンバージョンしたが, 抗体価は肺癌患者で有意に低かった (p<0.001).

結論

ICIを積極的に投与されている肺癌患者は, irAEを増加させることなく安全にワクチンを接種できたが, その免疫原性は同年代の抗癌剤や免疫抑制薬を投与されていない場合より低かった. 今後さらなる評価が必要である.

原著

Hibino M, et al, Safety and Immunogenicity of mRNA Vaccines Against Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 in Patients With Lung Cancer Receiving Immune Checkpoint Inhibitors: A Multicenter Observational Study in Japan. J Thorac Oncol. 2022 Jun 22;S1556-0864(22)00295-7.PMID: 35752437


👨‍⚕️ HOKUTO監修医コメント
Abstractからは, 「一番大切な抗体価が低い」という比較相手のcontrol概要がなかなか読み取れないですね. 抗体価の比較は 「同年代の抗癌剤や免疫抑制薬を投与されていない呼吸器・リウマチ科を外来受診した患者さん」 で検討されたようです.

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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