【必修】3分でわかる、子宮頸癌のエビデンス2024-2025
著者

仲野 兼司(がん研有明病院 総合腫瘍科)

1ヶ月前

【必修】3分でわかる、子宮頸癌のエビデンス2024-2025

【必修】3分でわかる、子宮頸癌のエビデンス2024-2025
2020年代に入り、 子宮頸癌の薬物療法は免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) の1次治療への導入や抗体薬物複合体 (ADC) の登場により大きく変革を遂げ、 予後が向上しつつあります。 本記事では、 子宮頸癌の薬物療法において押さえておくべき最新のトピックをまとめて紹介します。 

ICIの使いどころは?

1次治療における併用

従来の進行子宮頸癌の1次治療の標準治療であるカルボプラチン+パクリタキセルに、 抗PD-1抗体ペムブロリズマブを追加する有効性を検証したKEYNOTE-826試験において、 全生存期間 (OS) が有意に延長しました (ハザード比 [HR] 0.67、 95% CI 0.54–0.84、 p<0.001)。本試験の結果を基に、 日本でも1次治療におけるペムブロリズマブの併用が承認されています。

また、 白金製剤+パクリタキセル+ベバシズマブに、 抗PD-L1抗体アテゾリズマブを追加する有効性を検証したBEATcc試験でも、 無増悪生存期間 (PFS) ならびにOSの延長が示されており、 今後日本でも承認されることが期待されます。

🔹 KEYNOTE-826試験 (ペムブロリズマブ+化学療法 vs. 化学療法単独)

🔹 BEATcc試験 (アテゾリズマブ+ベバシズマブ+化学療法 vs ベバシズマブ+化学療法)

📄 PubMed論文情報 (KEYNOTE-826試験)

📄 PubMed論文情報 (BEATcc試験)

2次治療における併用

再発・転移性子宮頸癌の2次治療として、 抗PD-1抗体セミプリマブの有効性が確立されました。 EMPOWER-Cervical 1/GOG-3016/ENGOT-cx9試験では、 セミプリマブが従来の化学療法と比較してOSを有意に延長することが示され、 最終解析でもこの傾向が維持されました (HR 0.67、 95%CI 0.56-0.80、 p<0.00001)。

🔹 EMPOWER-Cervical 1/GOG-3016/ENGOT-cx9試験 (セミプリマブ vs. 化学療法)

化学療法群は、 ペメトレキセド、 トポテカン、 イリノテカン、 ゲムシタビン、 ビノレルビンのいずれかを医師が選択

📄 PubMed論文情報

局所進行例へのCCRTにおける併用

局所進行子宮頸癌に対する従来の標準治療であるシスプラチン併用放射線化学療法 (CCRT) に、 ペムブロリズマブを追加する効果を検証したENGOT-cx11/GOG-3047/KEYNOTE-A18試験において、 PFSの有意な延長が示されました (HR 0.70、 95% CI 0.55-0.89、 p=0.002)。

2024年11月、 日本でも本試験の結果を基に、 ペムブロリズマブが局所進行子宮頸癌に対する同時化学放射線療法との併用で追加承認を取得しました。

🔹 ENGOT-cx11/GOG-3047/KEYNOTE-A18試験 (ペムブロリズマブ+放射線化学療法 vs. プラセボ+放射線化学療法)

📄 PubMed論文情報

ADCの使いどころは?

後方治療でチソツマブ ベドチンが登場

ICIの適応拡大に伴い、 後方治療における新たな治療選択肢の確立が求められています。 組織因子 (TF) を標的とするADCのチソツマブ ベドチン (TV) は、 innovaTV 301試験において、 従来の化学療法と比較してOSを有意に延長しました (HR 0.70、 95% CI 0.54–0.89、 p=0.004)。

本試験の結果を基に、 2025年2月27日に日本で承認されました。

🔹 innovaTV 301試験 (チソツマブ ベドチン vs. 化学療法)

📄 PubMed論文情報

1次治療でもTV併用で高い奏効割合

チソツマブ ベドチンは、 他の抗癌薬との併用療法も検討されています。 第Ib/II相試験innovaTV 205では、 カルボプラチンやペムブロリズマブとの併用により、 管理可能な安全性を維持しながら、 1次治療および2次・3次治療で高い奏効率を示しました。

特に、 1次治療におけるTV+カルボプラチンの奏効率は54.5%と良好で、 新たな治療選択肢としての可能性が示唆されています。 今後は、 ICIとともに、 子宮頸癌治療のキードラッグとなることが期待されます。

🔹 innovaTV 205試験 (チソツマブ ベドチン+併用療法)

📄 PubMed論文情報

今後の展望は?

Trop-2およびHER2標的ADCが開発中

Trop-2を標的とするADCのサシツズマブ ゴビテカンや、 HER2陽性子宮頸癌に対するトラスツズマブ デルクステカンの開発が進められており、 今後の臨床応用が期待されています。

🔹 Trop-2標的ADC (サシツズマブ ゴビテカン)

📄 PubMed論文情報

🔹 HER2標的ADC (トラスツズマブ デルクステカン)

📄 PubMed論文情報

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進行・再発子宮頸がんの薬物療法

山本香澄先生 (兵庫県立がんセンター婦人科)

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婦人科がん領域における ADC製剤の展望

西川忠曉先生 (東京慈恵会医科大学産婦人科学講座)

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婦人科の化学療法レジメン

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TP ± BV + Pembrolizumab

Pembrolizumab + CCRT

Cemiplimab


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専門 : 腫瘍内科 (骨軟部腫瘍、 頭頸部腫瘍、 原発不明癌、 希少がん、 その他がん薬物療法全般)

腫瘍内科勉強用ブログ

一言 : がん薬物療法に関する論文を中心に、 勉強した内容を記事にしています。 

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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