インタビュー
3日前

誰しも立ち止まり、 迷い、 そして踏み出した人生の瞬間がある。 医師の原点や転換点にフォーカスするインタビュー企画 「Doctor’s Career」。 今回は、 北里大学病院下部消化管外科 ( 医学教育研究開発センター医療技術教育研究部門) 教授の佐藤武郎先生に話を聞いた。 (全4回の第1回)
医師を志した原点は長い入退院生活にある。 小学4年生の時、 雨上がりに塀から落ちて腕を骨折した。 骨がうまく癒合せず計4回の手術を受け、 1年半にわたり入退院を繰り返した。
「腕がパックリと折れて変形していて、 本当にびっくりしました」

救急病院から別の病院に移り、 そこで出会った整形外科医の言葉が心に残った。
「見た目は少し怖かったけれど、 『治してあげるから大丈夫だよ』と優しく声をかけてくれました」
長い治療生活の中で医師という存在への憧れが芽生えていった。
「術後、 痛みで眠れない時に、 夜中にコートのまま駆けつけて処置をしてくれて、 嘘のように痛みが取れた。 動かなかった手が動くようになり、 スポーツができる身体に戻してくれた。 医師ってすごい、 かっこいいなと思った。 それが医師を目指す原点です」

進学した北里大学医学部ではバスケットボール部に所属し、 充実した学生生活を送っていた。 ただ、 進路について迷いを抱えていた。 候補は憧れだった整形外科と児童精神科。
「入院中、 『自家中毒』で繰り返し入院する子どもとよく入院生活が重なっていました。 それが児童精神科に興味を持ったきっかけです」
一方、 医学部に入ってからは親族から病気について相談されることも増え、 次第に 「身内を助けられる医師でありたい」 という思いも強くなっていった。
「整形や児童精神科だと家族や親類を診る機会は少ない。 全身を診られる科を選ぶ方がいいのではないかと葛藤していました」

大学5年生のころ、 バスケットの練習後に仲間と立ち寄った店で声をかけられたのが外科の先生だった。 その偶然の出会いが佐藤先生の進路に変化をもたらした。
その先生の外科病棟実習で手術や患者を間近で見て、 心が動いた。
「自分の手で治し、 全身が診られる外科ってかっこいい。 率直にそう感じたんです」
卒業後は北里大学病院で研修を開始。 その後、 研修医の人数調整のため国立相模原病院(現・国立病院機構相模原病院)に出向し、 大腸がん専門の外科部長との出会いが進路を決定づけた。
「どれほど忙しくても患者全員を把握し、 変化を見逃さない。 その姿が印象的でした」
その1年間の経験が、 大腸専門医への道を確かなものにした。

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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