海外ジャーナルクラブ
1年前
Trabらは、 大量化学療法と自家造血幹細胞移植 (HSCT) を受けた18歳以上でアグレッシブな悪性リンパ腫患者を対象に、 二次原発性悪性腫瘍の発生率をコホート研究で検討した。 その結果、 大量化学療法とHSCTを受けた悪性リンパ腫の患者は対照群に比して、 非黒色腫皮膚癌、 骨髄異形成症候群 (MDS) または急性骨髄性白血病 (AML) の発生率が高かった一方で、 固形腫瘍の発生率に有意差はなかった。 本研究はLancet Haematolにおいて発表された。
治療効果ばかりに注目がどうしても集まりますが、 本研究のような合併症に着目した研究の意義は大きいです。 大量化学療法と自家造血幹細胞移植を受けた病気の進行が早い悪性リンパ腫患者の合併症を17年間のregistryデータから拾い上げ、 非黒色腫皮膚癌、 MDSまたはAMLのリスク増加と関連し、 固形腫瘍のリスク増加とは関連していなかったと言う結論は実臨床で有用です。
二次原発性悪性腫瘍(second primary malignancy:SPM)は化学療法後の合併症として知られているが、 大量化学療法とHSCTによる治療を受けたアグレッシブな悪性リンパ腫患者のリスクは十分に明らかにされていない。
2001年1月1日~2017年12月31日にデンマークで大量化学療法と自家HSCTを受けた18歳以上のアグレッシブな悪性リンパ腫患者をDanish Lymphoma Registryから組み入れ、 Danish Civil Registration Systemを介して一般集団の対照者と出生年と性別でマッチング (1:5) させた。
全試験参加者におけるSPMの発生率
大量化学療法および自家HSCTを受けた患者群は、 対照群よりもSPMの発生率が高かった。
調整HR 2.35、 95%CI 1.93-2.87、 p<0.0001
大量化学療法および自家HSCTを受けた患者群は、 対照群と比較して、 非黒色腫皮膚癌 (調整HR 2.94、 95%CI 2.10-4.11、 p<0-0001) およびMDSまたはAML (調整HR 41.13、 95%CI 15.77-107.30、 p<0-0001) の発生率が高かった。
固形腫瘍の発生率には有意差はなかった。
調整HR 1.21、 95%CI 0.89-1.64、 p=0.24
高用量化学療法および自家HSCTは、 最初の悪性リンパ腫診断からの時間依存的因子として解析した場合、 SPMのリスク増加と関連していた。
調整HR 1.58、 95%CI 1.14-2.17、 p=0.0054
大量化学療法および自家HSCTを受けた悪性リンパ腫患者は、 非黒色腫皮膚癌、 MDSまたはAMLのリスク増加と関連していたが、 固形腫瘍のリスク増加とは関連していなかった。 これらの知見は、 今後の治療選択時のリスク・ベネフィット評価に関連するものである。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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