海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前
Rangelovaらは、 左側切除可能膵癌 (RPC) 患者を対象に、 術前療法の影響を、 国際多施設共同レトロスペクティブ研究で検討した。 その結果、 術前療法は全生存期間 (OS) を有意に延長し、 診断時の腫瘍径が大きく、 血清CA19-9が高い患者ではその効果が顕著であることが示された。 本研究は、 Ann Oncol誌にて発表された。
著者が100名以上いる、 大きな観察研究です。
左側RPCは、 右側RPCと比べてOSが不良とされている。 術前療法はRPC患者には有効ではないと考えられているが、 現時点における無作為化試験のほとんどが右側RPCである。
本研究では、 左側RPC患者における術前療法の有効性を評価した。
2013~19年に、 4大陸18ヵ国76施設において切除術が施行された左側RPC患者2,282例において、 術前療法および先行手術による転帰を後ろ向きで比較評価した。
主要評価項目は、 時間依存性Cox回帰分析により診断時の交絡因子を調整したOSであった。
対象2,282例のうち、 290例が術前療法*を受けていた。
術前療法は、 先行手術と比べてOS延長と関連していた (調整HR 0.69 [95%CI 0.58-0.83])。
OS中央値は、 先行手術群の37ヵ月に比べて、 術前療法群では53ヵ月と有意な改善を認めた (p=0.0003)。 また5年OS率は先行手術群が35%であったのに対し、 術前療法群では47%だった (p=0.0001)。
術前療法は、 腫瘍が大きく、 血清CA19-9が高い患者ではその効果が顕著であった (それぞれPinteraction=0.003、 0.005)。
一方で、 脾動脈、 脾静脈、 後腹膜、 および多臓器への浸潤では、 術前療法の効果は高くなかった(それぞれPinteraction=0.43、 0.30、 0.84、 0.96)。
著者らは 「左側RPC患者における術前療法は、 先行手術と比べてOSを有意に改善し、 特に診断時の腫瘍径が大きく、 血清CA19-9が高い患者ではその効果が顕著であった。 本研究の知見は、 左側RPC患者に特化した術前療法の効果を検討するための基盤となり、 今後の無作為化比較試験によるさらなる検証が必要である」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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