HOKUTO編集部
8ヶ月前

直近の増悪がないLVEF≦40%の心不全 (HFrEF) 患者における可溶性グアニル酸シクラーゼ (sGC) 刺激薬ベルイシグアトの有効性および安全性を、 プラセボを対照に検証した第Ⅲ相プラセボ対照二重盲検無作為化比較試験VICTORの結果より、 心血管死/初回の心不全入院 (HHF) のリスクは低下しなかったものの、 心血管死および全死亡を有意に抑制した。 仏・the Université de LorraineのFaiez Zannad氏が発表した。 同詳細はLancet. 2025年8月29日オンライン版に同時掲載された¹⁾。
ベルイシグアトは、 左室駆出率<45%の慢性心不全 (ニューヨーク心臓協会分類II、 III、 またはIV) を対象にした第Ⅲ相試験VICTORIA²⁾の結果から、 症候性慢性HFrEFを効能・効果として承認されている。 しかし、 病状が安定している患者集団での有効性は不明である。
対象は、 LVEFが低下(≦40%)したHFrEFで、 無作為化前6ヵ月以内の心不全による入院、 および3ヵ月以内に外来での静注利尿薬の使用歴がない患者だった。
6,105例が以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けられた。
主要評価項目は心血管死または初回HHFまでの時間だった。
年齢中央値、 人種、 性別などの患者背景は両群で概ねバランスが取れていた。 NT-proBNPの中央値はベルイシグアト群1,370pg/mL、 プラセボ群1,381pg/mLで、 HHF歴なしは47%、 48%だった。
追跡期間中央値18.5ヵ月 (四分位範囲 13.6-24.7ヵ月) における心血管死または初回HHFのイベント数は、 ベルイシグアト群で549件 (18.0%)、 プラセボ群で584件 (19.1%) と、 両群間に有意差は認められなかった (HR 0.93 [95%CI 0.83-1.04]、 p=0.22)。
主要評価項目で有意差が認められなかったため、 階層的検定手順に基づき、 副次評価項目および探索的評価項目の解析は名目的な数値として結果が発表された。
心血管死はベルイシグアト群の9.6%、 プラセボ群の11.3%で発生し、 ベルイシグアト群ではリスクが17%低減した (HR 0.83 [95%CI 0.71-0.97]、 p=0.02)。 全死亡もそれぞれ12.3%、 14.4%で、 両群間に有意差を認めた (HR 0.84 [95%CI 0.74–0.97]、 p=0.02)。
一方、 HHFはそれぞれ11.4%、 11.9%で両群間に有意差は示されなかった (HR 0.95 [95%CI 0.82-1.10]、 p=0.509)。
重篤な有害事象 (AE) の発現率はベルイシグアト群23.5%、 プラセボ群24.6%と両群で同程度だった。 最も一般的なAEは症候性低血圧で、 それぞれ11.3%、 9.2%に認められた。
Zannad氏は 「直近の増悪イベントがない安定したHFrEF患者において、 ベルイシグアトは心血管死/初回HHFのリスクを低下させなかった。 一方、 心血管死および全死亡を有意に抑制した」 と報告した。
²⁾ N Engl J Med. 2020 May 14;382(20):1883-1893.
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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