海外ジャーナルクラブ
5ヶ月前
Kristenssonらは、 肥満女性を対象に、 減量手術が乳癌リスクに及ぼす影響について非無作為化介入試験で検討。 その結果、 減量手術後に乳癌リスクは低下し、 また手術によるベネフィットはインスリン値が高い女性でより大きかった。 本研究はJAMA Surgにおいて発表された。
「減量が乳癌リスクを減少させるか?」 は大変興味深い研究テーマです。 仮説が最初にある前向き研究ですので、 重みのある結果といえます。
"肥満"と"インスリン"は乳癌の危険因子であり、 後ろ向き研究において女性では減量手術が乳癌リスクを低下させることが示唆されている。
しかし、 減量手術後の乳癌リスクやベースラインのインスリン値の役割に関する長期的な前向きデータは不足している。
そこで本研究では、 減量手術が女性における乳癌発生と関連しているか、 また、 治療によるベネフィットはベースラインのインスリン値によって変わるかどうかについて検討した。
スウェーデンで実施した非無作為化介入試験SOS試験の対象で37~60歳のBMI≧38の女性 2,867例の乳癌イベントを調査した。
手術群 1,420例
対照群 1,447例
平均年齢48.0歳、 追跡期間中央値 23.9年で、 手術群では乳癌リスクの低下がみられた。
- 手術群 : 66件 (1,420例中)
- 対照群 : 88件 (1,447例中)
HR : 0.68 (95%CI 0.49-0.94)、 p=0.019
調整HR : 0.72 (95%CI 0.52-1.01)、 p=0.06
乳癌リスクに対する減量手術によるベネフィットは、 ベースラインのインスリン値が15.8μIU/L超の女性でより大きかった。
インスリン値>中央値15.8 μIU/L
HR : 0.48 (95%CI 0.31-0.74)、 p=0.001
調整HR : 0.55 (95%CI 0.35-0.86)、 p=0.008
インスリン値<15.8μIU/L
HR : 0.95 (95%CI 0.59-1.53)、 p=0.84
調整HR : 1.01 (95%CI 0.61-1.66)、 p=0.97、
interaction p=0.02
著者らは 「この前向き臨床試験によって、 肥満女性における減量手術後の乳癌リスク低下が示された。 減量手術のベネフィットは、 主に高インスリン血症の女性でみられた」 と結論にて述べている。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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